第百五十五話 藍田再び その二


「一応聞くが……彼女は連れてくのか?」

「サプライズでプレゼントしたいから、取り敢えずはお前たちと行こうと思ってる」

 

 え? じゃあこいつ私に断られたら一人で女物の水着を探しに行くって事になるわけだろ?

 

「なんか気持ち悪い」

「何が?」

「自分で考えな」

 

 しかも無自覚だとッ! こいつ絶対彼女の下着とか買いに行って変態扱いされるタイプだ。

 

「ふっ、元から変態じゃなかったか?」

「黙れ肥満体」

「違うもん!」

 

 江代が珍しく可愛い感じで怒ったな。

 まあ肥満ではないと思うが。

 

「てか無自覚が過ぎるとマジで女子に嫌われるぞ」

「俺は事実を述べたまでだ」

 

 まあAV女優以外でここまで胸が目立つのが珍しいのも分かるけども。

 

「デカけりゃ良いわけじゃねえんだよ。丁度良いサイズが良いんだよ」

 

 どうやら貧乳擁護ではないらしい。

 

「てわけで淀子のおっぱい型どってくれない?」

「殺されるぞ」

「性格はクソだがスタイルは良いからな」

 

 取り敢えず褒めてた事だけ伝えとこ。

 

「江代は顔だけだ」

「言わないでよ~!」

 

 顔だけは良いんだ……てか江代泣くな。

 

「あの……私は?」

「目つき悪い貧乳性格悪いで〇点」

 

 テメエしばくぞ。

 

「そういうとこだぞ」

「ほぼブーメランじゃねえか?」

 

※※※

 

 翌日。

 藍田の車に乗って、私達は水着店を目指していた。

 

「……遅い」

「……は?」

「いや、だから遅いんだって」

 

 藍田が今出している速度は四五キロくらい。

 周りは六〇キロ出しているというのに。

 

「遅すぎねえか? 教習所じゃねえんだぞここは」

「これでも医者だからな。医者が、怪我人や死人出しちゃいかんだろ」

 

 作者の親父に怒られるパティーンや。

 

「作者の親父出てきたな。どういう人なんだ?」

「なんか凄い車好きらしいぜ」

「ふーんマジか」

 

 てそうじゃなくて。

 

「渋滞してるから早くした方が良いぜ」

「分かったよ」

 

※※※

 

「着いたぞ。ここが水着屋だ」

「お、ここか」

 

 車庫入れが終わり、車から降りると同時。

 バイクで行くと言っていた姉さん達も到着した。

 

「やっほー待たせたわね」

「今着いたとこだ」

「ふっ、激しい恐怖を感じたぜ」

「お疲れ様」

 

 こいつ絶対法定速度オーバーしたな。

 

「よく警察に捕まんなかったよな」

「てか私を捕まえる方法があるなら教えて欲しいわ」

「ありません」

「その通りよ」

 

「さーて……話はそこまでにして、店入るか」

「そうね。前みたいにセンスのない買い物したらフラれると思いなさい。おっばい目当ての変態」

「ええ……」

 

 いや今回は姉さんが正しい。

 

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