第百五十四話 藍田再び その一


「くしゅん!」

「……」

 

 江代が夏風邪を引いた。

 

「馬鹿なのにな」

「吾は馬鹿じゃない!」

 

 中二病なのにな。 

 

「それも違う!」

 

 闇の騎士なのにな。

 

「ふっ……騎士とて病む事はあるさ」

「騎士なら体調管理しろや」

 

 絶対軍にいたら使えねえ奴やん。

 

※※※

 

 取り敢えず診察。

 

「うん風邪だね」

「ふっ……吾は全てお見通しだ」

「……そ、そなの? 薬出しておくから、ちゃんと飲んでね」

「魔力がある故、薬は不要だ」

「ゑ?」

「すみませんこいつ馬鹿なんです許してね」

 

※※※

 

「貴様余計な事を……」

「余計な事言ってねえからな?」

 

 こいつを一人で行かせなくて正解だった。

 

「ふっ、だがこれを一つの話として書かれているからには……貴様に不幸が

「フラグにしかならねえからやめてくれ」

 

 ネタが切れてきたからって、まさかあいつがまた出てくるなんて事はな

 

「おう初!」

 

 出たな変態医師。

 

「なんだ藍田。胸にメスぶっ刺されに来たのか?」

「なんで怒ってんの?」

「なんでじゃねえよ二章限りの筈のキャラが三章にも四章にも出しゃばりやがって」

「俺別にパクリキャラじゃねえもん!」

「じゃあ半分黒染めするか」

「俺の憧れのキャラになれるけどやめて! 出られなくなる!」

 

 いや出なくて良いんだよ!

 

 

※※※

 

「一応聞いてやる。何目的だ?」

「彼女との事なんだけど……」

 

 はーい聞く気無くしたリア充死ね。

 

「ふっ、聞いてやろうぞ」

「嫌なんだけど」

「何を言っておる……貴様は人が不幸になっても良いのか!」

「私はお前らのせいで不幸だよ!」

 

「俺の話を聞けェェェェッ!! 二ページだけでも良いからァっ!」

 

 作者にそんな技量ねえわ。

 

「で、どうした?」

「水着選びに付き合ってくれ」

 

※※※

 

「……は?」

「水着選び」

「うん。二回言わんで良いから」

 

 馬鹿なのかこいつは……水着選び? 知らねえよ!

 こちとら貧乳で水着を真面目に選んだ事ねえんだよ。

 自分のですら選ぶの嫌なのに、貴様みたいなゲス医者の彼女のだと?

 おっぱいごと握りつぶすぞクソが……。

 

「そんなに怒る事ねえだろ?」

「んだとコラ? ついでにテメエの金玉も潰そうか?」

「なんでェッ!?」

 

 結局やらされる事になった。

 

「プリン奢りな」

「……へい」

 

 条件付きで。

 

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