第百五十話 浅井三姉妹のSUITSな日常 その四


「というわけで、赤の姫と戦ってもらう」

「ゑ……」

 

 タッグものであって良いか微妙な展開。

 それは、主人公同士による対決だ。

 そう。この俺遠藤安信の次の依頼は、淀子ちゃんに今までカツアゲされた者が起こした訴訟。簡単に言うなら淀子ちゃんに金返せと言ってるのだ。

 率直な感想を言うなら……。

 

「なんで変態殺人じゃねえんだよぉ……」

 

 ああ。前々回はまだ良かったんだ。

 だって勝てるし。でも今回は、淀子ちゃんに何されるか分かんない。

 怖いよ~。

 

※※※

 

 一方淀子ちゃんは。

 

「へ~遠藤と戦うの~?」

「うん。あの、殺さないでね?」

「示談とか私の負けとかにしなければ殺さないわ」

 

 どっちも無理なんですけど。

 

「取り敢えずお互い頑張ろうか」

「うんぶち殺し確定ね」

「むぎ〇んかテメエは」

「ん? 遠/藤になりたい?」

「やだよ!」

 

 はあ……。

 

※※※

 

「弁護士の遠藤です。大丈夫ですか?」

「大丈夫に見える?」

「ミイラ男じゃないんですか?」

「違うわ! てか君ツッコミじゃなかったの!?」

「相方がボケる筈が、その相方が今回の敵だったもんで」

「あの子弁護士だったの!?」

「残念ながら」

 

 まあ経歴詐称したけど。

 

「まあいいや。とにかく、俺達はあの女から金を取らないと気が済まねえ」

「は、はあ……」

「いくらあいつの上司だからって、それが悪い事くらい分かるよな?」

「まあ、はい」

 

 勝ったら死ぬんだよな~とほほ……。

 

「あ、因みに言うが。もしお前が負けた場合、お前を締めるからな?」

 

 負けても死ぬんじゃねえか!

 

「絶対勝てよな! 約束しろ!」

 

 勝てるけど勝てない!

 だけど負けたら殺される……。

 

※※※

 

 裁判当日。

 

「それでは、開廷します。原告側、被告側。両者共に準備は出来ていますか?」

「原告側遠藤安信……準備したら死にます……」

「被告側浅井淀子! もし私が勝てなかったら、遠藤の奴を憎しみで殺す……」

 

 なんだこの恨みっこありの空間。

 

「ふーむ、困りますねえ」

 

 ダレカタスケテー。

 

「まずは原告側、証言をお願いします」

 

※※※

 

「俺達がバイトして稼いだ金を取られるなんて、そんなの許せるわけがない。そう思いませんか!?」

「ふむふむ……被告側に反論は?」

「うん。反論しかないからこの際言うわ」

 

 拳を握った……?

 

「おいクソ野郎……。殴りに来ないで裁判で決着着けるなんて、アンタは人と喧嘩するのも怖い陰キャかこら」

「ひ、ひいっ!」

「戦闘力五の分際で、裁判でイキってんじゃないわよ」

「わ、分かりましたッ! か、金を支払いますから!」

「被告! それ以上やるなら退廷処分を!」

「殺すぞジジイ。おすわり」

「は、はひッ!」

「アンタは今まで通り金払えば良いのよ。分かった? ATMくん♡」

「は、はひ……」

 

 ナニコレ。

 

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