第百三十六話 淀子ちゃんの言いなりにしかなれない その二


「で、どこ行くの?」

「……」

「淀子ちゃん?」

「いや……あのね」

「?」

「おかしいと思わない? 普通こういうのって、男の人が率先してどこに行くかどうかを考えるものよ」

「はあ!?」

「私に任せるにしても、『俺はここに行きたいんだけど、君はどう?』とかって聞きなさいよ」

「……めんどくせえなあ……」

「しばくわよ?」

「わ……分かったよ!」

 

 はあ……もう不安要素しかねえよ。

 

「あれ……あそこに貧乳が隠れてる」

「ホントだ! しかも怖い目でこっち見てるよ!」

「おかーさんあれなーに?」

「しっ! 見ちゃダメよ」

 

 私そんなに変な奴か!?

 

※※※

 

「並んでるわね~」

「そうだな」

 

 ……この流れは見た事あるぞ。

 

「私の本気を見てなさい?」

「いや……何か怖いんですけど」

 

 そのネタはもう良いだろ!?

 

「そこのおに~さん!」

「……」

 

 あれ? こいつ反応しねえぞ……?

 

「前、空けて欲しいな……パンツ見せてあげるからさ……」

 

 姉さんはあの時と同じように、スカートをたくし上げる。

 赤いレース柄の布が、しっかりと男の眼に留まり……。

 

「……」

 

 あれ反応しねえぞこいつ!

 

「悪いけど……俺彼女いるんだ。というか俺巨乳に興味ねえ」

 

 ……ネタ被りしなくて良かった。

 

「あぁ……そうなのね……?」

 

 って言ってる場合じゃねえ!

 こりゃ何かやらかすぞ! 止めねえと!

 

「私の本気を見せてあげるわ……ッ!」

 

 拳が風を纏う。

 

「吹き飛べェェェェェェッ!!」

「あああああああああああああッ!!」

「竜巻だ!」

「何だアレは!」

 

「悪いわね。そこ……どいてもらうわよッ!」

 

「任せた俺が馬鹿だった!」

 

 遠藤……それは仕方ないよ。

 

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