第九十八話 初のデート大作戦! その四


 ちゅんちゅん。

 

「えーっと、これとこれと……」

「それと、これとこれね」

 

 ……。

 

「姉さんや」

「何よ」

「これは何を入れたんだい?」

「アンタの事だから、どうせ出先で発情するでしょ。そうなった時の為に、このエログッズを

「流石に出先で自慰なんてしねぇよ!?」

「良いじゃんオ〇

「誰でも分かるエロ用語を出すんじゃねえ! この小説終わるぞッ!」

 

※※※

 

「結局入れないのね」

「当たりめえだバカ」

 

 はぁ……。やっと準備終わった。

 これから先輩の家に……。

 あ、そうだ。

 

「良いか? 絶対についてくんなよ?」

「ダ〇ョウ倶楽部?」

「フリじゃねえよ!」

 

 ったくこの馬鹿は……。

 さーて、ドアを開けに……。

 

「ふっ、貧乳の銃士よ」

「今度はお前か……。ろくな事言わなそうだから絶対聞きたくねえんだけど」

「貴様、またそのような恰好で……。恥ずかしくないのか?」

 

 そのような恰好って、白のキャミソールと黒のジーンズのどこが悪いんだ?

 

「敵を篭絡するつもりなら頭を使え愚か者。これを着てみると

「着ない」

「どうしてだよぉお!」

 

 何か歩く十八禁とかが着てそうな服を見せられてもなあ……。

 

「お前はともかく、私がそれ着てたらただイタイだけだからな?」

「ふっ、確かにな」

「お前マジで殺すぞ……?」

「うっ……うっ……ひっく……」

「付き合ってらんねぇな」

 

※※※

 

 さて、色々邪魔はあったが……。デートの時間だ。

 

「先輩の家に、れっつらごー」

 

 ピンポーン♪

 

「え?」

 

 もしかしてだけど。

 もしかしてだけど。

 もしかしてだけど。

 もしかしてだけど。

 先輩が家に……来ちゃってるんじゃないの~?

 

「浅井さん、おはよう」

 

 あれ、これ何? 合成? 映像?

 

「あの、先輩……ですか?」

「そうだよ。どうしたの?」

「き、き、き……」

 

 来てくれたァァァァァァァァッ!!

 しかも私服もカッコよすぎるよォォォォォォッ!!

 

「呆けた顔してるけど、大丈夫? 昨日みたいに倒れそうになったら言ってね?」

「は、はひ……」

 

 もう既に倒れそう……倒れて良いかな……?

 

「イチャイチャなら他でやりなさいよね」

 

 うるせえよテメエは黙ってろ。

 

「あちらの人は、君のお姉さんだね。たまに店に来てくれてる」

「え、そうなんですか?」

「後で殺すわねアンタ」

 

「ユニークな家族だね」

「そ、そうですね……あはは」

 

 家族に見えるけど家族じゃないからね!

 

「あの、京極先輩。質問して良いかしら?」

「君は昨日のお姉さん。どうしたんですか?」

 

「先輩って……童貞なの?」

 

 ……は?

 

「え、ええッ!?」

 

 な、何を聞いてんだこいつら……先輩が童貞なわけな……いや、童貞でいて欲しいけど!

 

「み……未経験だけど……」

 

 よ……良かったァ……死ぬまで私の穴を使ってもらおう。

 

「も、もう行きましょう先輩!」

「う、うん……」

 

「さーて……作戦開始よ」

 

 その声を、私は聞き逃していた。

 

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