第九十六話 初のデート大作戦! その二

前回の話から、三十分が経過した……。私は相変わらず……。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 荒い息を、吐き続けていた。

 

「……」

 

 あの、私?

 何してんの?

 動かないと先輩帰っちゃうよ!?

 ラノベで書いちゃいけない事始める気か!?

 

「ダメだ……理性が保てなくなりゅゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 やめろ初! それ以上性欲を高めるなァ!

 

「うおああああああああッ!」

 

 このままでは、この作品からツッコミキャラがいなくなってしまう……ッ!

 何としてでも、止めるんだァァァ――

 

「――漏れそうだから早く出てくんない!?」

 

 怒られた。

 

※※※

 

「はぁ……」

「どうしたの? 凄い気持ちよさそうな顔してるけど?」

「何でもないよ……?」

「まさかトイレで

「それ以上は言うなよ? 絶対言うなよ?」

「え……うん」

 

 これ以上はラノベで喋ったらダメだ……。

 

「わかったよ初ちゃん。私、京極先輩呼んでくる!」

「え、ちょっと待って!」

 

※※※

 

 なんてこった……。一番最悪な展開になったァァァァァァッ!

 和泉ィ……お前一応この作品ではまともなキャラの筈だよな……? なんで肝心な時に限って空気読めねえんだよ……。

 処女には無理だ……。

 

「もうダメだ……おしまいだ……」

 

「どうしたの? 浅井さん」

 

「ゑ……?」

 

 あれ、目の前に何かキラキラしたものが……。

 

「な、何でもないです!」

「そ、そうなの……?」

 

 鈍感過ぎるよ先輩……でもそこも好き!

 

「あ、あの……先輩」

「ん?」

「ああああああ、明日……ああああああ空いてますか? じゅるり……」

「空いてるよ」

「あ、あの……わ、私と……で、出かけませんか?」

「? 良いよ」

 

 あ、やっぱりダメか。そりゃあ私なんか相手してくれないよね……。

『良いよ』って言うって事は……。

 ん? 『良いよ』?

 

「良いん、ですか?」

「うん」

「……ぽっ……」

 

 あれ、視界が真っ暗に……。

 

「浅井さんッ!?」

 

 ああ……幸せぇ……。

 

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