第六十三話 江代と不良


「くっ……痛む……」

「だからやめろって言ったろ?」

 

 てかあいつ、ちゃんと姉さん倒した事言ってたよな。

 だとしたらもっと救いようがねえよ。

 

「吾は悔しい……あのような者に負けるなど、有り得ん」

「いや普通だから。姉さんと戦える時点で異常だから」

「かくなる上は……」

「かくなる上は?」

「吾もカツアゲとやらをするしかあるまい」

「……は? 全然意味が理解出来ないんだが」

「赤の姫は、カツアゲとやらで己の強さを磨き上げたのではないか?」

「いや、あのチート並みの強さは生まれつきだから」

「だとしても、吾も同じことをすれば今以上に……」

「いや、だから無理だっつの」

「よし、これから敵を探しに参るぞ」

「人の話聞いてるッ!?」

 

※※※

 

「そこの貴様ら」

「あん? てめえ何もん……ってあんた」

「どうした?」

「おい! 江代令嬢だぞ! あの人気動画配信者の!」

「江代令嬢!?」

「マジで!?」

 

 あ……ダメだ。こいつら江代のファンだった。

 

「どうしてこんな所に!?」

「い……いや。吾もムシャクシャしていて、誰かと戦いたかったんだ」

「なら俺をぶっ叩いてください! ご褒美のつもりで」

 

 しかも変態だった。

 

「無理だ」

「えっ……」

「吾に、吾の配下を叩けと言うのか……?」

「……」

「答えよ。貴様には、吾がそんな心の無い騎士に見えるのか?」

「いえ……」

「なら、そのような事……もう二度と言うな」

「は、はい!」

 

 結局何したかったんだこいつ。

 

「帰るぞ、貧乳」

「貧乳言うな」

「え、貧乳? ちょっと待て」

「お前!」

 

 なんだなんだ? 突然私を囲みに来たぞ。

 

「てめえまさか、あの淀子とか言う女とつるんでるやつか!?」

「知ってるぞ! 目つき悪い事で有名な!」

 

 てめえら私の目つきどんだけいじりてえんだよッ!

 

「おい貧乳」

「殺してもいい? ねえ、殺してもいい?」

「はぁ~? お前みたいな女に俺ら殺されねえし」

「……はあ」

「もしかしてこいつ、自分強いとか思ってね?」

 

 いやごめん、実はそうなんだよな。

 私はポケットからエアガンを取り出した。

 

「え、エアガン……?」

「はーい、動くなよ~?」

 

 連続で引き金を引く。

 エアガンの弾は狂う事なく命中した。

 

「つ、つええ……」

 

 だから言ったのに。

 

「だけど、これオチどうしたら良いんだ?」

「赤の姫がそやつらをハンバーグにすると言っていたぞ」

「見てたんかい」

 

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