第六十四話 初系・江代系・淀子系 その一


 このコーナーは、三姉妹があらゆる場面に遭遇した時の対応を記すものだ。

 

淀子『完全に某動画のパクリね』

 

 気にしたら負けだ。行くぞ。

 

その一『風邪を引いた時』

 

『初系』

 

「あぁ……風邪引いちまったよ……」

 

 バイト入ってたのに、何でこうなるんだよォォォォォォッ!!

 しかも……。

 

「うおおおおおおおおおおおッ!!」

「ふっ、魔界より墜ちし天使・ルシフェルを憑依。吾に力をッ!!」

 

 何で第一話と同じ状況?

 テメエらは病人に対する慈悲とか無いわけ!?

 

「初―! ご飯まだー!?」

「高熱で寝込んでる人間に料理作れとかアホか」

「早く用意しなさいよクソが」

 

 病人を労るという言葉、こいつらの辞書に無いのか?

 

「それ何語?」

 

 駄目だこいつら……早く何とかしないと。

 

『初系』『静かに寝る(眠れるとは言っていない)』

 

※※※

 

『江代系』

 

「今日はゆっくり休めよ」

「風邪引いちゃった……あたし……死んじゃうの……?」

 

 ……は?

 

「いつもの口調どうした」

「身体が怠いし……あたし……もう死んじゃうの?」

「もしもし江代さん。ただの風邪ですよ?」

「嫌だァァァァァァ! ママァァァァァァッ!」

「馬鹿ッ! お前!」

『何江代ちゃんを泣かせてんだクソ貧乳!』

 

 をいクソババア! 早く家に帰ってこい!

 

「なーかした。なーかした」

「てかおめえは早く電話を切れ!」

「仕方ないわねぇ……あ、母さん。初がアンタの事クソババアって言ってたわよ」

 

 何余計な事言ってんだ!? てか心を読むな!

 

『今すぐハワイから殺しに行くから待ってなさい』

 

 ホントにうちの家族は嫌ァァァァァァァァァァァァッ!!

 

『江代系』『何だかんだでうるさくなる』

 

※※※

 

『淀子系』

 

「ぎゃああああああああああッ!!」

「はっくしょん!」

「すすすす、すみません! お金は全部渡しますから命だけはッ!」

 

 ……。

 

「ん~? はっくしょん! 私今日はお金だけじゃ満足出来ないな~」

「そ、そんなァ!」

「今日ね~風邪気味なの~。だ~か~ら~……」

「だ、だから?」

「ちょっとだけ半殺しにするね♡」

「えっ、ちょっ、やめっ……」

 

「……いやあああああァァァァァァァァァッ!!」

 

『淀子系』『そもそも風邪って何?』

 

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