第六十二話 美剣士の名前


「という事が前あってな」

「美咲の奴……懲りてねえな」

 

 私が歩きながら聞いていた話。それは前回の事だ。

 

「てか、二話連続でお前主役やったのかよ」

「ふっ、この作品で作者が気に入っているキャラ一位二位に君臨する者同士、切磋琢磨しようぞ」

「これ一応私が主人公だからな? そこら辺分かれよ?」

 

 その内主人公乗っ取られそうな予感。

 

「貧乳の銃士よ。あの男、妙ではないか?」

「その呼び方やめろ……んでどれ?」

「あの青い和服の男。何か妙な力を感じ

「ちょっと待て」

「なんだ?」

「お前まさか……あれと戦う気じゃないよな?」

「貧乳よ」

「ついに銃士省きやがった」

「貴様……冗談を言うなら面白い冗談にしろ」

「すまん。だってお前の事だからてっきり戦うのかと

「戦いたい」

「やめろォォッ! お前死ぬぞ?」

「何故貴様に分かる? 貴様には吾と同じ力は無いはずだ」

「一応私、あいつと一度会ってるから。あいつ、姉さん倒したからな?」

「何だと!? あの赤の姫を倒す程の強さの持ち主……」

「どうだ? 戦意喪失したか? なら真っすぐ目的の本屋に

「余計に戦いたい」

「あ……死んだなお前」

 

※※※

 

「そこの貴様」

「僕を呼んでいるのか?」

 

 本当に話しかけやがった。

 

「貴様が赤の姫を倒した剣士か」

「誰の事だ……って君はあの場にいた……」

「あれ? 私が隠れてたのに気付いたのか!?」

「君の顔は見えていた。狙撃された時にな」

 

 マジで凄すぎるだろこいつ。

 

「あの女とは一緒じゃないのか?」

「出来れば一緒にいたくねえ。知らねえけど、カツアゲはまだやめてねえみたいだぞ」

「僕に負けて尚、悪の限りを尽くすなんてね。次会った時は容赦しないと言っておいて欲しい」

「お、おう」

 

 私を巻き込まないでくれとセットで言っておこう。

 

「それで、この子は?」

「吾は闇の騎士。貴様の剣がどれほどのものか、我が闇を持って試すべく参った」

「つまり、僕と戦いたいって事かい?」

「その通りだ。赤の姫を倒す程の剣舞、吾にも興味がある」

「あ、こいつ雑魚なんで手加減してやって」

「余計な事を申すな! 貧乳は黙っていろ!」

 

 あとで一発どついておこう。

 

「良いのか? 君が僕に勝つのは不可能と思える」

「最強の騎士を前にその言葉を吐くか。随分と吾をなめていると思える」

 

 そりゃあ普通お前を見たらなめるだろうよ。

 

「貴様は吾を見たらなめたいと思うのか? 気色悪い」

「そういう意味じゃねえよ!? てか心を読むな!」

「良いよ。僕が勝負するよ」

「ふっ、やっとその気になったか」

 

 あーあ、もーしーらない。

 

「僕が行こう――はあっ!」

 

 神速の抜刀術。対して江代は。

 

「ふっ、何を考えているのか知らぬが……ただの抜刀術で吾を倒す事は――ぐほあっ!」

 

 カッコつけといてすぐ死ぬなァァァァァァッ!!

 

「あっけないな」

 

 私が凄い恥ずかしいんだけどどうしたら良いのこれ。

 

「そう言えば、僕の名を語るのを忘れていたな」

 

 いや聞いてねえよ。まあ気になるけど。

 

「僕の名前は明智(あけち)三栄(みつひで)。覚えておくといい」

 

 二度と会いたくないなあ。顔は正直好きだけど。

 

「うおあッ!」

「だからバナナで転ぶなァァッ!!」

 

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