第六十話 数学テスト 江代編 ✝


 ふっ……久しぶりだな貴様ら。今回は吾のターンだ。

 ここは二年一組。吾と赤の姫が所属するクラス。これからテストが開始されるのだ。

 

「……」

 

 テスト……つまり試験というのは、吾自身無駄と思っている。そのような事をした所で、敵たるもう一つの闇を葬る事は出来ない。むしろ、時間を取られている。

 こんな茶番、すぐに終わらせてやろう。

 

『問一 1+1=』

 

 さて、この問題……どう解くべきだ?

 ……。ダメだ思いつかん。

 吾は今まで、闇の軍団を倒す為にわが軍に指示をした事がある。

 敵軍から策士と恐れられた吾でも解けぬ……だと?

 

「どんだけ頭悪いのよ」

 

 ふっ……赤の姫に思考を読まれたか。

 

「ほらそこ、声を出さない」

「へーい」

 

 赤の姫の手は借りられない。そして援軍を呼ぶ事も出来ない。

 この問題……どう解くべきだ?

 

 ――封印を解除するのだ……闇の騎士・江代。

 

「き、貴様は……」

 

 ――さすれば貴様は、英知と敵の闇を滅する程の力を得られる。このような問題、その力があれば容易く解けるだろう?

 

「……ダメだ。吾は二度とその力を使いたくない。吾の力で民が死ぬところは、もう見たくないッ!」

 

 ――良いのか? 貴様がこの問題を解けねば、お主が愛する民の命が、敵の闇に倒されてしまうのだぞ?

 

「吾は……吾はッ! どうすれば良いのだッ!」

 

「いや、アンタ1+1でどんだけ

「はいそこ、二回喋ったからカンニングね。即刻出てけ」

「はあ? 先公舐めた口聞かないでよ。殺しちゃうわよ」

「上等だゴラ!」

「遅いわ……おらあっ!」

「ぐはッ!」

 

 流石は赤の姫。あの番人を一撃で倒した。

 吾もあれくらい強くならねば。

 

「強くなる前にアンタは算数のやり方を覚えなさいよ」

「ふっ、断る」

 

「――というわけで、吾も赤点だ」

「馬鹿じゃねえの? てめえら」

 

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