第四十二話 服屋


 かっこいいなぁ……先輩。

 その瞳。その体型。その優しさ。

 私は……私はッ!!

 

「うおァァァァァァッ!!」

 

 やべェッ!! やべえよッ!!

 見てるだけで辛いッ!!

 微笑まれたい!! 髪触りたい!! 抱きしめたい!! セ〇〇〇したいィィィィッ!!

 

「うわああああああああああッ!!」

「あの……浅井さん。早く変わってくれませんか? 漏れそうなので」

「はい」

 

 あのさ……、思うんだけど。トイレから話スタートするの、悪趣味にも程があるぞ。

 私がまたイタするとでも思ったのか?

 んなわけねえだろォ……? 家まで我慢するさァ……。

 さァて今日も頑張りますかァァァァァァァァァッ!!

 

「さっさと替わってくれない!?」

 

※※※

 

「せ、先輩……」

「ん、どうしたの浅井さん」

 

 いやァァァァァァカッコいいィィィィィッ!!

 

「その、次はどうしたら良いですか?」

「じゃあこの服を七番コーナーに並べておいて」

「は……はいいいいいいッ! 喜んでェェェェェッ!!」

「居酒屋さんなの? ここ」

 

 京極先輩と話せた……嬉しいよ……死にそうだよォ……。

 今日死ぬのかなァ? ねェ教えて? 死ぬの?

 

「そうだ! 今日先輩を夕飯に誘っちゃお!」

「お巡りさん、ここに処女の極みがいます」

「黙れェェェェェェェッ!!」

 

 おい、誰だ。こんな所にゴミを捨てた奴は。

 

「アンタを燃えるゴミに出すわよ」

「取り敢えず、ごゆっくりお亡くなりください」

「あのさ服を買いに

「ごゆっくり、おなく、おな、お亡くなりください」

「アンタをハンバーグにするわよ」

「どうでもええからさっさと帰れ。一生のお願いだ。それから、この店にも近付くな」

「私がどこ行こうと勝手じゃないの」

「こういうときだけ察しが悪いよな……」

 

 その都合の良い洞察力が羨ましいよマジで。

 

「アンタの好きな人がいるんだっけ?」

「そうだ。だから早く帰れ。プリン買ってやるから」

「え~、どうしよっかなぁ?」

「悩むな早くしろ!」

「あれ、初ちゃん?」

 

 丁度いい所に和泉が。

 

「お、和泉!?」

「淀子ちゃんもいるね」

「ここに買い物に来たってのに、この貧乳レズの奴退店させようとしてるのよ」

「なあッ!?」

「え? ダメだよ初ちゃん。姉と言ってもお客さんなんだから、ちゃんと対応しないと」

 

 お前はこいつの対応を真面目にしようと思えるのか、すげえな!?

 

「そうよ初。さっきから何よその態度。私はお客様よ? 許されるわけないじゃない」

 

 いやこんな対応するのお前だけだよ?

 

「初ちゃんお願い」

「……」

 

※※※

 

「私が案内します。指定した場所まで案内するので、絶対に暴れないでください」

「アンタやっぱり一発どつくわよ」

「四十秒でお選びください」

「パ〇ーじゃないわよ私」

「早くしろ」

「あれの赤」

「かしこまりました。レジまで案内します」

 

(少女レジ打ち中……)

 

「はい、もう二度と来ないでください」

「酷いわね」

「おい……家まで止まるんじゃねえぞ……」

「倒れながら言わないでよそれ」

 

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