第四十話 制作会議(一章反省会)
「あれ、ここ台詞しかねえの?」
「途中都合で地の分入るわよ。作者の手抜きよこれは」
「ふっ、神も手抜きをするのだな」
「これ何なの? おまけ?」
「いやあ、作者にこの小説の方針について話す時間をくれって頼んだらくれた。どこぞの万〇屋のBGオンリーみたいな感じで考えるわよ」
「あれは有名だから許されるけど、私達がこれって許されるのか?」
「うーん、知らないわ」
「はあ……取り敢えずカクヨムに来られて良かったな。まあ何と言うか、無理矢理感が半端ないけど」
「取り敢えず初と江代に聞くわ。どうだった?」
「うん、こんなんでカクヨムコン通りたいとか言ってる作者の神経を疑ったわ」
「ふっ、貧乳の銃士を闇に葬りたいと感じた」
「お前を葬るぞ」
「ママ助けて」
「まだ旅行中よ」
「んで、会議っつったってどうすんだ?」
「あのさ、この小説のキャッチコピー覚えてるわよね?」
「おう。確か『最高にバカな三つ娘の、最高にバカなコメディラノベ!』だったよな」
「ここまで最高な事あったかしら?」
「え?」
「こんなんでカクヨムコン通るわけないって言ってるのよ」
「ふっ、その通りだ。今のままでは、フォロワーもいなくなるだろうし、コンテスト突破は難しいな」
「おいおい、ポジティブに考えろよ」
「ここはやっぱり、パクリを入れてでも人気を出すべきよ」
「いやダメだろ」
「だから私、プライドを捨てたって言ったじゃない」
「そのプライド捨てたらもっとやべえ事になるからやめろよッ!?」
「でもやっぱりさ、私達も活躍したいのよ」
「お、おう」
「だからここからは、私達がストーリーを作って、この小説を助ける番よ」
「大丈夫なのかそれ」
「ここから、一人ずつアイデアを出してもらうわよ」
「え」
「当然よ。あいつもそろそろネタが尽き始めている頃だし」
「じゃあ意見出して良いか?」
「まあ聞くだけ聞くわ」
「いや何それ……。もうちょっとありきたりでも
「はい却下。次意見ある人」
「ふっ……語り手を吾にすればどうだ?」
「それ良いわね。初が語り手ってのが問題なのかも」
「はあ!?」
「……でもさ、やっぱりそんなありきたりな改変しても読者は納得しないと思うのよ。ここは、今までの流れを全部断ち切ってスタートするべきじゃない?」
「は?」
「例えばこういうのとか」
「いつの間にスマホで映像編集なんて器用な真似を……」
『――私の名は、浅井淀子。
――普通より、ちょっぴり美人な花の女子高生。
――だけど私が通う学校は、普通じゃない。
――その高校に入る条件は一つ。容姿と体型が共に美しくあること。その選ばれた人間の一人が私なのだけど、その高校には、私なんかとは比べものにならない美少年がいた。
――だが、今日がその人との出会いになるなんて、私は全く気付いていなかった。
場面が変わり、淀子ともう一人の少女が何かの列に並ぶ映像が映し出される。
――「淀子、あの人まだ来てないの?」
――「来ていないみたい」
――今日がその人のサイン会。順番を待つべく、最後尾に並んでいたんだけど……。
――「きゃあっ!」
――私は後ろから来た子に突き飛ばされて、列の外に飛ばされてしまったんだ。
――そこに、私に向かって一本の手が伸びてくる。
――その手を差し伸べたのが、例の美少年だった。
――それが、私と彼の恋の始まり。
――『浅井淀子の恋の日常』。』
「おい姉さん」
「何よ」
「既存キャラお前しかいねえじゃねえかッ! しかもお前こんな性格じゃねえだろ!」
「ふっ、ダメだな赤の姫は……ここは吾に任せろ」
――その時。一人の人間が、犠牲になった。
――「初!!」
――それは吾、浅井江代が巨人に復讐すると誓った瞬間でもあった。
――その出来事から三年後。吾は巨人を一撃で葬れるという伝説の剣を手に入れる。
――私はその剣を片手に、民に叫んだ。
――「ブ〇〇〇ア人よ。動じることはない」
――少女の反逆が、今始まる。
――『✝進撃の緑剣 ――反逆の江代――✝』
「出来ねえよこんなん! 何で私死んでんだよ!」
「貴様などこの程度の扱いで十分だ」
「んだとコラッ!!」
――あーあ、やっぱりお前ら成長してねえよ。
「ん、この声は……」
「作者よ!」
――ちょっと期待してたけど、所詮この程度か。だからこれを書くの嫌だったのに。
「……なんか、すげえ見放されているな」
――おい、そこの貧乳。
「あ!?」
――終わらせて。じゃあそんなわけで。
「おいちょっまっ……」
「どうすんのよ、貧乳主人公」
「その呼び方やめて。はあ……もう良いよ。このまま続けようぜ」
「結局そうなるのね」
「ふっ……それも良いな」
『一章終わり』
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