第三十七話 姉さんの恋 その三


「次の作戦考えるわよ」

「言っとくが、もう協力しねえぞ?」

「何言ってるのよ。さっきの作戦失敗した分、アンタにはきっちり働いてもらうわよ」

「文句言われる私の身になって!? マジお願いッ!」

 

 いつからパシリになったんだ私は。

 

「元々アンタは私のパシリよ」

「私今日でお前の姉やめます」

「ダメよ」

「それなら私は抵抗するで? KO☆BU☆SHI☆DE」

「どうせアンタ死ぬじゃない」

「……くそォォおおおおおおッ!!」

 

 ゆ……ゆるさん……。

 

「絶対に許さんぞクソ姉貴!!!!! (夢の中で)じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!!!!」

「ワースゴーイムナシスギテナケルー」

「……ねえ、泣いて良いかな?」

「泣く暇あんなら考えてよ」

 

 お前いつか殺してやるからな?

 

「まあ殺させないけど」

「んで、作戦なんて言われてもどうすんだよ。もう流石にネタが無いぞ」

「作者と同じく?」

「黙ってな」

「だってじじ

「ああああああああああああッ!!」

 

 危ない危ない。

 

「ねえ初、だったら逆にされたら嬉しい事をすれば良いんじゃない?」

「されたら嬉しい事?」

「好きな男の子にされたら嬉しい事を想像して、それを彼にもやってあげるの」

「いや、分かんねえよ」

「想像力ゼロなの?」

「だって先輩と話した事はあるけど、ご飯にすら連れてってもらって無いんだぞ? まだそれが嬉しいかどうかも分からんし、あと面識ねえんだろ?」

「そうね」

「ならどうすんだよ」

「! 予めプレゼントを買って、面識が出来たら渡すのは?」

「なるほどな……だが何を買うつもりなんだ?」

「TE〇GA」

「ふざけてんのか姉さん」

「だって彼も男の子だし」

「どこの世界にTE〇GA渡されて喜ぶ男がいるんだよッ!?」

「アンタそれ言う? 大人の玩具だらけのバッグ持ってるのにその台詞は

「い、いやあれは!」

 

 あれは自分で買った奴だからッ!! ま、まあ先輩に買ってもらえたら嬉しいけど……。

 

「お巡りさんこっちよ」

「私犯罪者!?」

「うん。某アニメ風に言うなら『犯罪係数オーバー114514。執行モード。リーサル。エリミネーター。慎重に照準を定め、対象を排除して下さい』。こんな感じ」

「好きな人想っただけでそんな攻撃するなァァァァァァッ!!」

「セーフティーを解除します」

「うるせえ!!」

 

 そのド〇ネーター……絶対壊れてるぞ。

 

※※※

 

 あー、めんどくさい。

 

「え、何が?」

「……」

 

 あー、めんどくさい。

 

「だから、何がよ」

「……」

 

 ああああああああッ!! めんどくさい!

 

「何よ!?」

「いや分かろうよ。今どこか分かる!?」

「え、スポーツ用品店でしょ?」

「あなたはそこで何をしに来たんですか?」

「え? なんだっけ?」

「サッカーボール買いに来たんだろうが! てめえの好きな人の為に!」

「あー、なんかそんな事しに来た気がする」

 

 こいつやる気あんのかなぁ……。

 

「だから他人に任せないなんてプライドは捨てたのよ」

「もうプライド云々の話じゃねえぞこれ! やる気のあるなしに関わるぞ!? あんのかやる気!」

「あるわよ」

「とてもある人には見えねえぞ……」

 

 それにしても、スポーツ用品店なんて初めて来た。

 私は普段、スポーツをやる事が無いから来た事など無いが、本当に色々なものが売っている。

 これを機にスポーツでも始めようかな。

 

「ねえ、初? アンタここに何しに来たか覚えてる?」

「お前が言うなッ!! お前はさっさとボールとシューズを買え!!」

「……はあ、はいはい」

「帰るぞこの野郎」

「帰ったら死ぬわよ?」

 

 畜生めェッ!!

 

「無意識のうちに総統閣下出て来たな……」

「アンタ総統閣下に嫌われそうだけど」

「あれの和訳動画上がってねえのかな」

 

『おっぱいプルンプルン!!』とか何言ってるのかマジで気になる。

 

「ねえ初、凄いサッカーボール見つけたわよ」

「え?」

「これなんだけどね?」

「おう」

 

 金色のサッカーボール? かなり派手だな。

 

「まあ派手だが、お前がそれで良いならそれにすれば

「だけどこれおかしいのよね」

「え?」

「なんかこれ2個セットらしいんだけど、内容物に一本のぼ

「連載打ち切られるゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 なんか殴っちゃいけない気がするけど、取り敢えずボールを殴っとく。

 

「どうしたのよ」

「いや、今のすげえ危なかったぞ」

「何言ってるのよ。今までこんな事は沢山あったじゃない」

「そうだな。用を足そうとしたら鹿威しが出てきたり、色々と危ない単語が出てきたり、もうヤバいよこの小説」

「両方ともアンタのせいじゃね?」

「いや作者のせいだからねッ!?」

 

※※※

 

 何やかんやあったが、姉さんはボールとシューズを購入し、私もテニスラケットを買った。

 

「松〇修造にでもなる気?」

「お前と会話してると熱くなるどころか疲れるわ」

「もう少し頑張ってみなさいよ」

「だから日本一にならねえよ!? シジミも獲らねえし!!」

 

 あ、だがゴム買わないとな……。髪束ねた事ねえし。

 

「ゴム買うの? なら薬局行く?」

「そっちのゴムじゃねえよ」

「てか誰とヤるのよ」

「だから違えって言ってんだろッ!?」

 

 アウトなのかセーフなのかもう分かんねえよ……。

 

「アウトね」

「もう喋んな……」

「いや、ダメよ。こっからが大事」

「はい?」

「この後の作業は、江代にも協力してもらうから」

 

 江代にだと……? 嫌な予感しかしない。

 姉さんはケータイを操作してから、耳に当てた。

 

「あ、江代。知り合いの人に大至急マスクを作って送るように言って」

『赤の姫、それはいくら何でも無茶

「私の頼みが聞けないのかしら?」

『ふっ……そうだな。吾らは同盟を組んでいた。分かった、協力しよう』

 

 ピ♪

 

「はい、これで作戦に必要なモノを揃えられるわ」

「相変わらず江代弱いな」

「アンタよりはマシよ。それで、何するか説明して良い?」

「嫌です」

「き・い・て?」

「はい」

 

 そして、姉さんの口から作戦が語られた。

 

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