第三十五話 姉さんの恋 その一


「かくかくしかじか……」

「なるほどな……」

 

 家にて、私は姉さんの話を聞き。

 結論を導き出す事が出来た。

 

「悪い事は言わない。諦めろ」

「ん……? 殺されたいの?」

「いや、あのさ……」

「何よ」

「お前デキる女アピールしてたけどさ……はっきり言ってあの演技はキモ

「ん? もう一度言ってみなさい?」

「はっきり言ってキモ――アアァァァァァァッ!!」

 

 拳が突き刺さった。

 

「何よ、私の何処がキモいって言うのよ」

「お前にマジで朝のお前を見せてやりてえッ! 大体お前昔から演技大根過ぎんだよッ! なんかただただ見てて不快だったし……」

「酷いわねぇ……」

「私ならもうちょっと上手くやるわッ!」

 

 実際私自身、自分の演技力は高い方だと思っている。

 昔窪田〇孝並みと言われた事がある。

 

「へー、それであの体たらくなの? 『万年発情期処女の極み(レズ)ゴッド』さん」

「もういい加減忘れろ馬鹿ッ!」

 

 アドリブ苦手なんだよ昔からァッ!!

 

「アドリブ苦手で役者を語るんじゃないよ」

「お前役者じゃねえじゃん」

「いやアンタよりは俳優知ってるから」

「ただし演技はだいこ――ウゴハァッ!!」

「まあそんな事はどうでも良いのよ」

「私を殴った事どうでも良いとかマジ最悪だなお前」

「え、何で?」

「もう良いです続けて下さい」

「何で泣いてるの?」

「うるせえ喋ってくれ! そして私を解放してくれェェェェェェッ!」

「わ、分かったわよ……」

 

※※※

 

「取り敢えず、一緒に作戦を考えて欲しい……って事な」

「そゆこと」

「ふっ……敵の素性を探るなら我が魔眼で

「あれお前いつからいたの?」

「さっきからいたよッ!」

 

 いやお前の台詞一つもないから分かんなかったわ。

 

「作戦ねえ……」

「うん」

 

 正直な事、読者のお前らに言って良いか?

 

 ――ンなもん思いつくならてめえらより先にリア充になってんだよおおォォォォォォッ!!

 

 知らねェよ彼氏作る方法とかッ!

 それが出来たらもうとっくにバイト先の先輩落としてるわッ!!

 

「それアンタがヘタレなだけじゃない?」

「うるせえ馬鹿ッ!!」

「取り敢えず我が魔眼で

「もう性格探りに行ったら……?」

「なぁんでだよぉッ!!」

 

 江代うるさいよ。

 

「行ったら? 違うわよ。行くのよ」

「は?」

「だぁーかぁーらぁ。アーンーターが、性格をさーぐーるーの」

「はあ!?」

 

 いや待て待て待てィッ!!

 

「おまッ! プライドとかねえの!? なにてめえが狙ってる男を人に任せてんの!?」

「プライドなんか持ってたら恋愛なんて上手くいかないのよ――『万年発情期処女の極み(レズ)ゴッド』」

「同じネタを一話で使うな!」

「はぁ……いい? アンタには一度心構えをしっかりしてもらうわ」

「は?」

「何か勝負する時に必要なのは、自分は出来るって自信を持つ事よ。そして決して諦めない事。例えブスでも……諦めなければ! 思いは伝わるのよぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

 世界よ、見ましたか? これが十六歳処女の現実逃避です。

 

「何よヘタレ」

「マジでお前現実を見ろ」

「アンタも自分がヘタレだという事を自覚して、改めるべきだと思うわよ」

 

 地味にバカ姉からのヘタレ宣告は傷付くんだが。

 

「取り敢えず、今作戦思いついたから。アンタにはそれをやってもらうわ」

「思いついたんかい! この茶番の意味はなんだったんだよッ!」

「え、尺かせ

「あああああああダメェェェェェェッ!!」

「うるさいわねぇ……」

「んで、作戦って何よ?」

「無視したわね? まあ良いわ……話す。それはね……」

 

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