第二十三話 部活を探そう
放課後の職員室。私は担任に呼ばれていた。
「浅井、今日書いてもらった進路希望調査なんだが……」
「ちょっと待って?」
「何だ?」
「名前……間違えてないよね?」
「ああ」
「……」
いや! だとしたら呼ばれた意味が分かんねえよ!
ふざけて進路を書くなんて私以外の連中くらいだし!
それに私、これからバイトなんだけど!?
「何かの間違いじゃないか? 私がふざけて書くなんて有り得ねえし」
「いや、ふざけとかではない。この進路を目指す上での指導をちょっとな」
「お前らの指導とか……、正直タメにならなそうだな」
こいつらには前科がある。
一年の頃、割とガチで私達を心配したのか、自分の過去を元に高校時代で努力する事の大切さを説いたが、嘘だとバレた。本当はこいつも色々遊んでいたのだ。
ここは私立ではない。どうやって公務員になれたのか……気になって仕方ないのだが。
「部活を探してこい」
うん……意外と普通だった。
※※※
「は?」
「東京の大学に行きたいんだよな? なら、部活に入っていないと厳しいぞ」
「いや、いきなり言われても」
「もしこの進路を通したいのなら、拒否権は認められない。探してくるんだ」
「はあ……」
私、浅井初が部活に入らなかった理由は三つある。
一つは自由を奪われたくないからだ。
部活というのは、自由を返上する行為。姉を始めとする家族に自由を奪われて育った身としては、自由を自分から捨てるなど、馬鹿という一言では形容出来ない。
二つはバイトが出来る日が無くなる事。おっと、ここでバイトも自由返上だと突っ込んだお前……それは違うぞ。私がバイトを続ける理由は金稼ぎだけじゃない。憧れの先輩の彼女になるのも含まれている。しかしこの学校の部に入った所で、女ばかりなのだ。
三つは、もう言うまでもない。馬鹿どもとの関わりを極力減らしたい。
今までの話を見れば分かるだろうが、ここにはほぼ馬鹿しかいない。関わりを減らさなければ、私が伝染する可能性もある。
あ、お前もだろと思った奴、正直に手を挙げろ? エアガンを撃つぞ。
「着いたか……」
女子野球部。学校の特待とかだと、野球部出身が優遇されるのはよくある話だ。
問題は中身。これで酷いものだったら……。
「失礼しますぜ~」
さて、そこには素振りをしてる奴らの姿はなく……。
あったのは。
「きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んd
ガチャン!!
「……あの野球部にはあ〇ち充先生に全裸で謝らせよう」
※※※
次は世界を間違えませんように。
「失礼します」
次は軽音部。部員は四人、制服はここのだが……。
一人目は茶髪ショートの一見天然そうな子。
二人目は同じく茶髪だが一人目より薄く、どこかクールそうな子。
三人目は黒髪ロングの子。
四人目はどこか上品そうな金髪の子。
この面子、見覚えがある……!!
「すみません。世界を間違えました」
ガチャリとドアを閉め、小走りで次の場所に向かう。
※※※
次はサッカー部。どうせ「イ〇〇マイ〇〇ン」辺りが出てくるんだろうが、まあ部活シーンさえ出さなければいいだろうと覗いてみる。
そこには、黒髪のキャプテンらしき女子生徒が、どこかひ弱そうなキーパーに何か言っているような姿が見えた。
「キャプテン、私やっぱり怖いッす。止められませんよ」
「大丈夫、貴女なら止められるわ。ボールは友達怖くないわ」
どこかで聞いたことのある台詞を聞いた――否。聞かされてから、再びドアを無理矢理閉める私。次の部活へと歩を進める。
※※※
これ確かなろう時代は、『もう知ってる人いねえよ』って突っ込もうとしたけど……今新しくアニメやってたな。
「作者、意外と無知だな……」
次はバスケ部。もう嫌な予感しかしない。
今度はどうなるんだ……?
「失礼しまーす」
バスケ部の練習場は三つ。バスケ部の練習場は体育館。この高校は確かバスケ部が強いとどこかで聞いたことがある。
その言葉通り、三つのチームが見えた。
一つ目のチームは、青髪の少女がキャプテンのチーム。モデルはどうせテ〇ヤだろう。
二つ目のチームは・・・・・・。どうせ赤〇か緑〇辺りだろうと思っていたのだが。そのチームのキャプテンは赤い髪ではあるが、赤〇と違いかなりごつい顔をした赤いユニフォームの少女。
待てえ! 黒〇スじゃねえのかよ! そしてこれに関しては元ネタが分かんねえよ!
三つ目のチームのキャプテンは、ピンク色の髪を持つ、小学生ぐらいの背丈しかない少女。しかも監督がイケメン。ではあるのだが。
「全く、合法ロリは最高だぜ」
すごい聞き覚えのある――しかも最悪な台詞を聞くと同時に無理矢理ドアを閉め、再び小走りで別の所に向かう。
「まさかス〇ムダンク出てくるとはな……。作者絶対どんな話かしらねえだろッ!」
色々見てきたが……どこも何かのパロネタばっかだった。
最後に残ったのは『らぶら〇部』。もう部活の名前から、嫌な予感が漂っている。
もうこの高校の部活に入る気失せたし、チラって見てから帰ろと思いながら、ドアを開ける。
「失礼しまーす……」
そこにいたのは、スクールアイドルなんて絶対無理そうな老け顔やブスのたまり場だった。
「誰だてめえらああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
しかもこいつら、某アニメのキャラっぽい髪型にしてるけど話にならねえ!
まださっきまでのパロネタ集団の方がマシだった。
「あ、私
「名乗るなああああッ! ファンにしばかれてまう!!」
もういいや、帰
「あ、一曲聴いてください!」
「嫌です。著作権を始めとする様々な問題が押し寄せてく
「では歌います! 『僕〇〇〇〇〇〇』!」
「やめてくれえええええええええええええええッ!!」
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