第十八話 小ネタ 物資提供


『要請を受諾。物資を供給する』

 

 物資供給。C〇Dなどでスコアを溜めると手に入れる事が出来るものだ。

 私は銃ゲーも好きだが、サバゲ―も好きだ。

 サバゲ―を一人でやっていて思う事がある。

 

『スコアストリーク来ないかな』と。

 

 しかしそう思ったのが運の尽き。

 大変な事の連続だった。

 

※※※

 

 四月某日。

 種も仕掛けもない木に向かって発砲した後、ボイスチェンジャーで改変したような非人間的な声が聞こえてきた。

 

『要請を受諾。物資を供給する』

 

 直後、ドローンが到来し、その場に箱を置いていく。

 

「マジで来ちまったよ……。中身は何だ?」

 

 恐る恐る箱を開ける。

 すると……。

 

 ――テッテレテッテテッテレテッテテー!

 

 ドラ〇もん的な音と共に、中身が明らかになる。

 

「紙切れかよ」

 

 何故かアイテムではなく紙。

 書かれている事は無いかと翻す。

 

『バーカ』

 

 グシャ……。

 

「おい……これ書いた奴出て来い」

 

※※※

 

 次の日。今日は趣向を変え、アイテムから犯人を予測する事にした。

 取り敢えず手近な木に発砲する。

 

『要請を受諾。物資を供給する』

 

 再びこの声と共に、ドローンが飛んでくる。

 今回はマシなもの……が来ると良いのだが。

 箱を開けると、そこには……。

 

 ――大量のゴミが入っていた。

 

 それもただのゴミではない。私が朝出してきたゴミだ。

 今日はゴミの日だった筈だ。

 

「姉さんか……」

 

 あとで𠮟るのは確定だとして、次の日がどう来るのか気になって仕方ない。

 スカ〇ブとか入れてくれれば良いのだが。

 

「あ……そうだ!」

 

※※※

 

「な~に? 初」

「この前ドローンで色んなもん送ってくれたから、お礼に静かな場所で豪勢にランチでもどうかなってさ」

「へ~、こんな所で?」

「廃工場も良いだろ? たまには」

「江代も連れてきていい?」

「駄目だ。あいつは何もしてないからこのパーティーに参加する資格はない!」

「そなのね」

「ちょっと待ってて、すぐ戻る」

 

 姉さんが珍しく勘が悪くて助かった。

 今日の作戦は簡単。流石に〇カラブは用意出来なかったが、爆発物なら簡単に用意出来る。

 火を点けたマッチ棒を、廃工場の入口に投げる。それだけだ。

 それだけで廃工場ごと姉さんを吹き飛ばせる。

 今回も色々酷い目に遭わされたが、それも全て今日で終わりだ。

 

「悪いな姉さん、お前は終わりだ」

 

 マッチの先端を擦り、火を点ける。

 そのまま入口に向かって投げつけた。

 

「さあ、どうなる?」

 

※※※

 

 予想通り、廃工場は粗方吹き飛んだ。

 所々燃え、破片が此方に飛んできた。

 

「さて、これで姉さんも死んだ

「と思っているのか?」

 

 美しい……しかし悪魔のような声が耳に響く。

 普段は美しいその顔も、悪魔のような笑みを浮かべていた。

 

「初? これはどういうことかな?」

「それはね、仕返しって言うんだ」

「へ~。私この程度じゃダメージゼロよ」

「はあ!?」

 

 いよいよ姉さんが何者かどうか分からなくなってきた。

 

「私を吹き飛ばしたいなら、核兵器の一つでも撃ちこむ事ね」

「あ、はわわ……」

「初? アンタ私を殺そうとしたよね?」

「え? え? え?」

「覚悟は出来てるのよね?」

「えっちょまっ……ぎゃああああああああああああああッ!」

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る