第十六話 校外学習 その六
数分後。
「……ッ!」
「姉さん?」
「来たわね」
「は?」
「強い気がいくつか……こっちに来るわ」
ドラ〇ンボールじゃねえんだからさ。
「いや、本当よ……」
「おいおい馬鹿発言も程々に……あ……」
はい、いつものです。学校でやってる奴です。
私達は、二組の生徒に囲まれていた。
「浅井淀子……今日こそ勝つわよ」
「うん、勝たせないわよ」
おい……ここ公共の場だぞ。
「おいおい、今回は何を賭けたんだ?」
「ふっふっふ……今回はね……これよ!」
あの時教壇に立っていた奴が見せたのはチラシ。
それはこの遊園地内の料理店のものだった。
この時点で、何となく察した。
「今回は勝った人と、勝者を当てた人に、この店のステーキ丼を食べる権利を与える!」
「はい! その戦い私も参加させてくださあああああああッ!
姉さんに殴られた。
「何すんだよ……」
「何言ってんのよ。アンタも一緒に逃げるわよ」
「嫌だ! 私はステーキ丼を食べるんだ!」
「ぶっ殺すわよ?」
「死んでも私は嫌だ!」
「へー、そっか~」
ん? あれ、この顔は……?
「アンタ死にたいのね?」
「ひっ!」
「良いわよ……まずその心臓を貫いてあげるから……」
「怖い怖い怖い!」
「じゃあ、従うわね?」
「はい……」
はあ……そんで江代と和泉は?
「ってなんでてめえらはそっち側なんだァァッ!?」
木刀を構える江代と、何故か拳を構えて立つ和泉。
「ふっ……肉とあっては吾も全力で戦う」
「初ちゃんごめんね。私もステーキ丼食べたいの!」
こいつらァァァァァァッ!
「初、捕まって」
「えっちょ待ってああああああッ!」
姉さんは私の腕を掴んでから、大きく柱に飛んだ。
毎度思うが、姉さんの身体能力は人間じゃない。
ジャンプする時の跳躍力は、人間が飛べる高さを遥かに上回っているし、戦闘能力に関してはドラゴ〇ボールの世界に放り込まれたとしてもやっていけるくらいなのだ。
「初はエアガンで撃って」
「いや何言って
「やりなさい」
人使いが荒い奴だ。
私はショットガンを取り出し、一人を狙い撃ちした。
「うおあッ!」
「すまん!」
この度はこのバカ姉のせいで申し訳ございません。
「誰が馬鹿姉?」
「おまえ」
「ん? もう一度言って?」
「すみません」
※※※
逃げ始めてから十分。頭は痛く、もう吐きそうになっていた。
「姉さんゲロ吐きそう」
「吐いたら殴るわよ」
「理不尽過ぎません?」
やべえ吐きそう。
しかも、木刀の幻覚が見える。
「現実よ」
「心読むおえっ!」
出掛けた。
それにも構わず、江代が木刀を当てようと向かってくる。
「ふっ……肉は吾のものだ!」
「おわっ!」
死神の如く迫る江代。
姉さんはそれを絶妙なタイミングで躱す。
移動中に吐いたら、殺されるしなぁ……。
「もうダメだ早く解放してくれぇぇぇぇぇぇッ!」
「駄目です」
「ゲロゲロゲロゲリュリュリュリュ!!!!」
盛大に吐いた。
「良いわよ初! 江代を撒いたわ!」
ゲロ吐いて相手撒くとか汚ねえよ!
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