第十五話 校外学習 その五

 楽しかった……だが、罪悪感が心に刻まれた。

 

「楽しかったね~」

「うん、和泉……顔と言ってる事が一致してねえよ」

 

 和泉はもうグロッキー状態だ。

 

「さ~て、次はどこ行こうかしら」

「ふっ、赤の姫は凄いな……吾も見習わなければ」

 

 二人はいつもの調子である。

 

「おっ……?」

 

 不意に姉さんが足を止めた。

 視線の先にあったのは、姉さんが絶対興奮するものだ。

 

「待ちなさい!」

「どけっ!」

「ぐおあっ!」

 

 一人の男が、警備員相手にやり合っている。

 

「この俺を止める事なんざ不可能だぜ!」

「いくら持ってるのかな~」

 

 軽快な足取りで、男に近付く姉さん。

 うん、もう読めた。

 

「おじさ~ん。強いのね」

「悪いねお嬢ちゃん、そこをどいて?」

「え~やだ~」

「もう一度言うよ? そこを通して?」

「やだ!」

「通せって言ってんだろッ!?」

「私を倒せたらいいわよ?」

「ふっ……何を考えているかは分からんが嬢ちゃん如きにこの俺は……っておい!」

 

 姉さんはそのまま片手で男を持ち上げ、

 

「えっちょ……まっ……うおあっ!」

 

 そのまま地面に叩きつけた。

 

※※※

 

「えへっ……大漁大漁!」

 

 ホクホク顔で隣を歩く姉さん。

 両手の中には、男から奪った金を入れた自分の財布。

 私から貰った分やカツアゲをしている分、そして奪った分を全部足したら二十万近くいきそうだ。

 

「なあ姉さん……そのお金を私に分けるという選択肢はお前にねえの?」

「うん!」

「よーし分かった金づる女」

「あ? 処女の極みゴッドが調子乗んなよ」

「もうその脅しにはのらぐほあッ!」

 

 腹に拳が突き刺さった。

 

「というかいつゴッドになったんだよ。サ〇ヤ人じゃねえし私」

 

 あ……違う。そうじゃない。

 

「あ、そうか。お前がサ

「殴るわよ?」

「はい」

 

 ん~……絶対可能性ありそうなんだけどなあ……。

 

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