第十二話 校外学習 その二

朝五時。眠い目を擦りながら、私は歩いていた。

 尤も……姉さんと江代は普通だが。

 

「イベントの時だけ、異様に早起きだな」

 

 普段もこれくらい早く起きて欲しいものだ。

 

「私は遠足の時に寝坊するような人じゃないわ」

 

 普段も寝坊しないでくれよ。

 

「闇に紛れて生きる吾にとって、この暗さは活力を与えてくれる。眠さを訴える貴様は、所詮下等生物という事だ……貧乳のじゅ

 パン。

「うわああああああああん! ママああああああッ!」

 

 無言の発砲の効果は抜群だ。

 

※※※

 

 なんやかんやで学校に到着し、二組の教室へ。

 それでもまだ空は暗いままだ。

 

「初ちゃんおはよ~」

「おう」

 

 私の知る中でのまとも枠、和泉が軽快な挨拶と共に入室。

 

「今日楽しみだね~」

「そだな」

 

 さて、私の悩みを一つ紹介しよう。

 この会話を聞けば分かる通り、私は会話を続けるのが苦手だ。

 理由は至極簡単。私はあのバカ姉妹達と普通の会話をしていないからである。

 

「何か、ごめんな」

「ん~? な~に?」

「何でもねえよ」

 

 まあ、こいつがこのままでいてくれれば、私は何も望まない。

 

※※※

 

「ヒャッハーッ!」

「あぁぁぁ……煙草がうめえ……」

 

 バスに乗ったとて、こいつらは変わらない。

 

「眠れねえ……」

「そうだね~」

 

 と目をピクピクさせながら相槌を打つ和泉。

 彼女もやはり眠かったようだ。

 

「寝ても……良いんだぞ?」

「……いや、この状況を楽しみたいからいいよ~(寝かせろ寝かせろ寝かせろ死にそう)」

「怖い怖い怖い!」

 

 和泉……お前の清さには感服するが無理し過ぎだ……。

 

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