第十一話 校外学習 その一

地味に本作初の長編 by 心夜


※※※


「これと……あれか」

 

 バッグにものを詰めながら、私は確認する。

 明日は校外学習なのだ。

 と言っても、キャットランドで一日遊ぶだけだから、遠足と言った方が良いんじゃないか疑惑があるのだが。

 

「バイトで貯めたお金も入れて……」

「ねえ」

 

 ガシッ……と姉さんに手を掴まれる私。

 そのまま神妙な顔になり、

 

「自分が、何やったか分かっとんのか……?」

「は?」

 

「分かっとんのかァァァァァァッ!?」

 

 そのまま封筒を奪う姉さん。

「金……分けろよ」

 

「金分けろよォォォォォォッ!?」

 

 うん、やだ。

 

 一方、江代はと言うと……。

 

「はぁぁぁぁぁッ!」

 

 何かに力を注ぐような動作。

 答えは簡単。てるてる坊主に、だ。

 

「小学生かてめえは」

「貴様は知らんのか貧乳の銃士。てるてる坊主を笑う者はてるてる坊主に泣くぞ」

「てるてる坊主に泣く時ってどんな時だよ……」


 少なくとも私にそんな機会は一生訪れない。

 

「あと初はこれも入れておきなさい」

「何でバイブ!?」

「万年発情期処女の極みゴッドのアンタはこれがなきゃダメじゃない」

「色々追加するなァァァァァッ!」

 

 次の日はあっという間にやってきた。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る