第十話 身体測定

はい、今年もこの季節がやってきました。

 健康診断の日。周りに馬鹿にされるのがオチの、極めて下劣なイベント。

 身長が高い奴や、体重が軽い奴は何もしなくても良いかもだが、そうでない奴は前日に無駄な足掻きをさせられてしまう。

 私も昨日色々試した。

 

「初ちゃん、身長上がってると良いね」

 

 心なしか和泉の身長が去年より上がってる気もするが、無視だ無視。私が上がっていれば気にしない。

 

「和泉さん」

「はい」

 

 和泉が身長計に足を運ぶ。保健委員がバーを和泉の頭上まで降ろし、数値を見る。

 

「ん~、一六五……」

 

 やっぱりか(去年は百六十一だった)。

 

「……だと思う」

 

 は?

 

「ありがとね~」

 

 この保健委員本当に大丈夫か?

 

「えーっと次は……『あさいしょ』さん?」

「浅井初だ。振り仮名振ってあるだろ」

 

 本当に大丈夫か?

 

「じゃあ身長測ります」

 

 百六十百六十百六十!!

 

「百五十九」

「……だと思う?」

「いや、百五十九」

「は?」

「ひゃくごじゅうく!」

「だと思うだけだろ?」

「いや、マジで」

「てめえこんな時だけちゃんとするなァァァァッ!」

 

 結局一センチも伸びてねえ……。

 

「あれ~初じゃない?」

「ふっ、貧乳の銃士。まさかこの場で会うことになるとはな」

「めんどくせえ奴らが来た」

 

 しかも表側見せて自慢するな! 一センチずつしか上がってねえくせに。

 

「アンタ一センチも伸びてないの? ぷーくすくす……」

「殺してやろうか?」

「アンタが死ぬわよ」

「冷静な返しありがとう」

「ふっ、吾の力の影響で貴様は吾より身長が低いまま……」

「それが本当ならお前を殺す事になるぞ」

「やると言うのかなら

 ポコッ。

「うわあああああああああんッ!! ママァァァァァァッ!」

 

 やれやれ。

 

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