第5話 作戦
「そりゃ怖いけど。余計に怖がってたら命落としそうだから」
ほぉ、とマイクは少し感心したように言った。
「話を続けるぞ。それで、通路を抜けると裏口に出る。裏口は、理由は不明だが監視カメラが設置されていないから寮の外に出られる。すると、すぐ近くに東門がある。東門は長年使われていなくて、存在も忘れられているから老朽している。その門を壊して脱走しよう。日没――アドルフ工場長の生誕祭が始まったら計画を決行する。いいな」
「
脱出方法に関しては、マイクにまかせっきりだった。ルイスは初めてマイクを見たとき、爽やかな笑顔を信用してはならないと警戒していた。だが、今では完全に心を許し、信頼していた。人を信用して生きられることをルイスは誇らしく思っている。
「それから、脱出した後は正門に回って正門にロープをかけておく。
ルイスは心の中でマイクを
「もうすぐ始まるかな、生誕祭」
「あぁ。さっき日が沈んだからな」
その時。鐘の音が辺りに響いた。それは、生誕祭開始の合図であり、脱出劇の開幕を知らせるファンファーレでもあった。いや、ファンファーレにしては暗いだろう。彼らの行く末を暗示していないことを祈るばかりだ。
マイクは鐘が鳴り終わると同時にルイスについてこい、というジェスチャーをして歩き出した。
従業員は夢の中にいることだろう。
彼らは足音を立てないようにして奥へと歩く。
「寮ってこんなに広かったんだね。探検しようとか考えたことなかったよ」
「あぁ。…ここだ」
呟いたマイクは“
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