第3話 約束
「そう、俺にマイクという名前を授けてくれた友達さ」
ルイスは安堵の溜息を
「――聞いているのか、ルイス」
「あ、はい。……何を?」
マイクに話しかけられたルイスは我に返った。
「聞いてなかったのかよ。ピーターが脱走したとき、俺が一肌脱いだんだ。工場を脱走するのはピーターが初めてで、誰かが工場に残る必要があった。見張りとか、
「それって、つまり、僕は――」
「心配するな。ルイスは囮になんかしない。お前に、俺が感じた孤独を味わわせたくないんだ。2人で行こう」
ルイスは一瞬嫌な予感がしたが、マイクの台詞を聞いてその嫌な予感はどこかへ消え去った。代わりに、マイクをリスペクトする気持ちが生まれた。
「僕、マイクを尊敬する。マイクについてく!」
「そうか、じゃあ、ここから抜け出そう。男の約束な」
嬉しそうな笑顔でマイクは拳を突き出した。ルイスは、ぎこちなく口角を上げてマイクの拳に自分の拳を当てた。
その時。再び監視員がやってきた。
「
「「はい」」
再び2人同時に鋭く返事すると、監視員は去って行った。
「じゃあ――また明日。この第2レーンで会おう。ここが俺達の
マイクは、彼が担当しているレーンに帰って行った。
「砦……か」
ルイスは自分にだけ聞こえる声で呟いて作業を再開した。
彼が作業する能率は多少上がっていた。マイクに出会って、希望の光が見え、少し気が軽くなったからだろうか。
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