地球温暖化
温暖化といえば二酸化炭素だが、分子の振動モードが多いメタンは二酸化炭素より温室効果が高いとされる。そのメタンを主成分とするのが牛のゲップ、それを減らすために、畜産大国オーストラリアではエサの研究が大真面目にやられている[1]。
とはいえ二酸化炭素が温室効果の大半を占めてるのは間違いない。日本に限れば95%は二酸化炭素によるものだ。
ではどうすれば大気中の二酸化炭素を減らせるか。基本的に地球上の物質は循環していることに注目しよう。そうすれば必然的に、大気中から二酸化炭素を回収し固定することと、二酸化炭素の排出量削減が論点になる。(ちなみに水素とヘリウムのように宇宙へ飛び立っていく例外的元素もあり、地球は毎年5トンずつ軽くなっているそうだ。)
あえて変わり種からいってみよう。『人工光合成』だ。光触媒で二酸化炭素と水から炭化水素化合物を合成して、プラスチックの原料にする技術[2]。空気中から炭素を回収できる。林業は木を育てて木を切る、老木では二酸化炭素の吸収が減るため、効率的に炭素を固定するには新しい木を植える必要がある。それはすなわち光合成の成果物を回収するために、光合成デバイスそのものを破壊する行為といえる。そう考えると人口光合成の方が効率的ともいえるかもしれない。開発中だが期待したくなる技術だ。
とはいっても地球の最大の脱炭素リソースは天然の光合成、すなわち森林だろう。森林は呼吸もするけど、収支としては黒字だ[3]。(樹齢や森林の状態にもよるだろうが。)森林の再生と保存が肝心だ。若い木の方が二酸化炭素が光合成が活発なので、切って植える、林業の活性化が求められる。切った木材は建物へ。(しかし古くなった建物も取り壊したら燃やすのだ。そう考えると『処分』にこそ注目すべきかもしれない。あまり商売にならない部分、ゆえにこそ大事だ。)
次に二酸化炭素を減らすための方法。賛否両論あるだろうが、火力発電の縮小を推そう。東日本大震災で原発が停止して以来、国内の電力不足分は火力発電の稼働で賄われてる。閉鎖された古い石炭発電所に再び火がくべられるなんて、誰が予想しただろうか。だからと言って安易に原子力発電所の再稼働を勧める訳じゃない。ただ、そんなことも知らずにぬくぬく電気を使ってるのはどうかとは思う。夢と魔法の王国ではどれほどの電気を使ってるのだろう?
あとはゴミの削減だ。大量消費の見直し。耳の痛い話だ。
さて、ちょっと別な見方をしてみよう。実は地球の温度が上がると、二酸化炭素が増えるのだ。土中微生物の呼吸増、海水からの揮発、そのリソースは様々だ。そのせいで温暖化陰謀説なんてのも、まことしやかに囁かれてたことがある。
とにかく温暖化は温暖化を加速させる、正のフィードバックがある。逆説的に寒冷化は温室効果ガスを大気から奪い、寒冷化を加速させる。つまり地球は太陽活動の影響による温度変化を増幅させるメカニズムを持っている。オカルト的に言えば、地表に蠢く生物たちを振り払おうっていう、地球の免疫システムのようなものなのかもしれない。地球温暖化とは過去200年間での2度の温度上昇を指すわけだが、16万年というスケールで見れば12.5度の温度変化があった[4]。つまり温暖化を防止するのは地球を守るわけではなく、人類が地球にしがみつくための悪あがきだと思えてくる。
氷河期を視野に入れてみよう。今後、太陽の活動が低下してきた場合、地球に氷河期が訪れる。そのとき我々を極寒から守ってくれるものは何か?それは温室効果ガスだ。ならば私たちが地球から振り落とされないために必要なのは温室効果ガスを減らすことでなく、制御する手段なのかもしれない。
温室効果ガスの削減ではなく、太陽光を遮断するというアプローチもある。たとえばダイソン球だ。まあそれは絵空事としても、例えば地球を取り巻くデブリを増やすのはどうだろう?宇宙空間で太陽光を遮って、氷河期の訪れにはそのデブリを大気圏で燃焼させるのだ。なんて冗談を考えていたら、高高度エアロゾル散布なんて方法も研究されてるようだ[5]。気候への人的介入はリスクと隣り合わせなので、専門家方も最後の手段という認識らしい。
幸いなことに、地球に氷河期をもたらすような太陽活動の低下はまだ先と言われている[6]。
以下、参考文献です。
[1] 『地球を救う? 牛排出のメタンを減らす海藻』
https://newsphere.jp/sustainability/20181014-1/
[2] wikipedia『人口光合成』(原著リンクあり)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%85%89%E5%90%88%E6%88%90
[3] 国立環境研究所『二酸化炭素収支を観測する』
https://www.nies.go.jp/fushigi/050713.html
[4] 法政大学文学部紀要『地球温暖化への再考』(2003年)
http://www.hosei.ac.jp/bungaku/museum/html/kiyo/49/yoko/satou.pdf
[5] Gigazine『化学物質をスプレーすることで地球温暖化を食い止めようという計画』(原著論文リンクあり)
https://gigazine.net/news/20181129-air-spray-climate-change/
[6] 地球温暖化はもう手遅れか?(はたまたミニ氷河期到来か)
https://news.yahoo.co.jp/byline/emoriseita/20180813-00092812/
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