社会問題あれこれ
ヱビス琥珀
森林を守る
地球温暖化に生物多様性の破壊。環境問題の多くは森林破壊が関係している。そしてそれは日本国内だけの問題ではなく、地球規模の視点で見ていく必要があるだろう。だってそれは地球全体の問題なのだから。それを『複雑な問題』と捉える必要はない。単純なパーツが連なって、スケールが大きくなっているだけのことだ。
森林破壊の総論については色々な資料が見つかる。過去の調査報告がまとめられた資料[1]によれば、いま森が減っているのは、東南アジアと南アメリカ、アフリカだそうだ。中国はこれまでの環境破壊から一転し、緑化に力をいれているようだ。二酸化炭素の排出量取引の効果も大きいのかもしれない。
森林破壊が進行している3つの地域だが、その要因はそれぞれ異なる。東南アジアは商業用木材伐採と農地拡大、南アメリカは牧畜と道路整備、アフリカは農地拡大と薪燃料としての木材伐採だ。
商業目的の木材伐採とは、建材やパルプとして輸出を前提とした木材の伐採だ。日本は国内の木材を使わず、輸入材を多く使っている。オリンピックの施設建設にインドネシアの違法伐採木材が使われたニュースがあったが、それはあくまで氷山の一角だろう。低コストを目指せば、植林を伴わず大規模に伐採をする方式が有利になる。完全な自由主義経済では森林は守れない。
日本人がすべきことは、積極的に国産材を利用することだろう。植物は二酸化炭素を吸収して成長するため、老木よりも若木の方が炭素固定力が高い。杉を切り、杉以外の木を植えよう。花粉を出さないよう品種改良された杉でも良い。違法木材を駆逐し、国内の林業も活気づき、花粉症も解消する。一石三鳥だ。補助金でも出したら良いんだ。
農地拡大で問題なのは
東南アジアの農業では焼畑が槍玉に挙げられることがあるが、森の回復を待つ伝統農法ならば問題にならない。移民政策でやってきた新人が、効率を求めて無茶な焼畑を展開しているようだ。
南アメリカ。畜産のために大規模な飼料用農地が作られる。日本はブラジルから大量の鶏肉を輸入している。環境に優しいエタノールを作るために、森林を切り開きサトウキビ畑を作っているらしい。いずれにせよ密林のイメージが強いアマゾンが消えていくのは悲しいものだ。
さて、アフリカだ。資料[1]によれば、アフリカの森林破壊事例17件のうち、95%は人口増加が背景にあるとされている。日本が少子化に喘ぐ一方、彼の地では特殊出生率が5を上回る国もある。
こういった話題を出すと、多産多死の生存戦略をとる民族に、ワクチンなどの生存率を上げる人道支援をするのが間違いという意見も出るかもしれない。だがそれで終わらせてしまってはあまりに虚しい。多産の背景として、いくつかの国では女性・女児の人権がないに等しいそうだ。10代前半で結婚・出産を強要される女児、非道い話だ。女性の社会進出は少子化をもたらす、すなわち人口増加に歯止めをかける。結果的にそれは森林保護に結びつくだろう。アフリカへの支援の見方は大きく変わる気がしている。
以下、参考文献です。PDF直リンクなのは申し訳ない限りです。題名で検索すればヒットしますので…。
[1] 熱帯における森林減少の原因―焼畑・人口増加・貧困・道路建設の再考
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs/92/4/92_4_226/_pdf/-char/ja
[2] 環境省地球環境局環境保全対策課『違法伐採出前講座』資料
https://www.env.go.jp/nature/shinrin/download/DemaeKoza.pdf
[3] 女姓の就業と出生率の動向
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ssgs/14/0/14_KJ00009029528/_pdf
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