第3話私とアリスの新たなーー始まり

 食事を終えた頃にはすでに当たりは真っ暗になっていた。

 視界が悪いなか魔物もいる森をまだ小さいアリスにはきついと判断し私が寝ずの番をすることで、その場で一夜を明かすことにした。


「私が見張ってるから安心して寝なさい」


 アリスにそう言いながらアイテムバックから神さまに頼んでいれてもらった最高級寝袋を出して渡す。

 渡されたアリスは使い方がわからなかったようで身体に巻いたりしていた。


『この世界にリリスがいた世界の寝袋はないよ?』


 なるほど・・・


 神さまに指摘され、私はアリスに寝袋の使い方を教えた。

 アリスは教えた通り使いミノムシ状態で地面に寝転がった。


「あったかぁい」


 アリスは食事後私に警戒をといたのか安心した顔を見せてくれるようなった。

 そんなアリスをみていると和み自然と顔が緩む。

 火を絶やさないよう木をくべながらアリスをみていると視線にきずいたのかハッとして、少し頬を紅く染めとまどう。

 どうやら、アリスは見つめられるのは苦手らしい、にらめっことか弱そうだ。


 しばらくするとスゥースゥーと規則正しい寝息がアリスから聞こえきた。

 よっぽど心も身体も疲れていたのだろう。

 明日もアリスには辛い現実を見ることになる。

 今までアリスを可愛がり育ててくれた者達の死という現実を彼女は乗り越えれるだろうか。


 そんなことを思いながら私は夜を明かした。


 朝食の準備をしているとアリスが起きてきた。


「おはよう、ございます。」


「おはよう、よく眠れたかな?」


「はい!」


 挨拶を返し尋ねると元気のよい返事が返ってきた。


「もうちょっと待ってね~もう少しで朝食ができるから」


 朝食はスクランブルエッグと焼きベーコン(日本産)にトーストとイチゴジャム(これも日本産)あとは、紅茶(これも日本産)・・・なんかこの世界では異世界の食材がアイテムバックに入れられてるしかも市販品。

 がっつり私の死ぬまえにいた日本の食品だった。


 昨日の時点でツッコミを辞めた。シチューを作る時に使ったのが固形ルーで完成状態の写真がプリントされた箱のだったし、牛乳もイラストつきパックで出てきたしお肉にいたってはあちらの日本の賞味に値段が記載されたパックで出てきた。


 聞けばあちらの世界で買ってきて私のアイテムバックに入れてるらしい。

 わざわざあちらの世界の神さまに許可を貰ってしているので大丈夫だと言うこと。

 そこら辺は詳しくはわからない多分情報をインストールされていないのだろう。


「よし、出来た。じゃあ朝食にしよっかアリスちゃん」


 出来立てをテーブルに並べ、アリスとともに取る。アリスはすごく美味しそうに食べてくれる。

 だいたい、焼いただけだけど一番反応がよかったのはイチゴジャムだった。

 元居た世界の食べ物を美味しそうに食べているところを見ているだけで元居た私としても嬉しいというか誇らしく思える。


 朝食を楽しくしっかりとったあとは、私としても気が重くなるようなこと、アリスの住んでいる村への移動だった。


 アリスも逃げる時に見ていたのか表情に影がさしているように見ていて感じた。


「さっアリスちゃん森を抜けようね」


 森の中足場が悪いためアリスにはきついだろうと思い、おんぶした私は足を進める。


 目的地には数分で着いた。まだ小さい子供のアリスの足では盗賊から逃げてもそんなに遠くに逃げれないこともありすぐだった。


 村は焼け焦げており、焦げた臭いが漂っていた。村の生存者は0人盗賊が20人ほど潜伏していた。


 私はアリスを降ろしすぐさま盗賊の排除をおこなった。

 よく見ると盗賊の正体は人間ではなく魔族だった。

 魔族だからとか関係なく苦戦することなく時間にして1分程で盗賊を始末することができた。

 転生した身体がチートすぎるせいだ。戦いかたなど神さまにインストールされていたがそれがなくとも装備した剣で一線するだけで相手が武器でガードするもガードした武器を破壊して相手に攻撃がすんなり通り、盾で殴るだけで相手は吹き飛び身体を強く打ち付け簡単に命を奪ってしまえた。


「おじいちゃん!おばあちゃん!みんなぁ!うう返事してよぉ」


 盗賊を片付け終えアリスの方に気をむけると、すでにアリスは涙を浮かべ声をあげて泣いてなんの反応もしない二人の老人の身体の前に座り込んでいた。


 私はどう接すればいいのか解らず、村の掃除(盗賊の掃除)をして、アリスをまっていた。


「もう、いいの?」


「・・・うん」


「そう、じゃあ埋葬して皆のお墓たてよう」


 私とアリスは村人全員の墓を1日かけて作った。


「アリスちゃん人間にはここは安全じゃないから、人間の領地に移らない?そして、私と暮らさない?」


 アリスに私と暮らさないかと聞くと数秒間考えお墓を見たあと私の手を握ってくれた。


「リリスさんがいいなら、よろしく、お願いします。」


「これからよろしくねアリスちゃん」


 こうして私とアリスの新しい生活が始まった。


 神さまの目的だった保護もこれで完了だろう。

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