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翌日

夫は仕事帰りに彼と話し合うから、夕飯はいらないと言って家を出た。しばらくはこの家にいるつもりのようだ。

私達は1年も会わなかったのがまるで嘘のように違和感がなかった。今朝なんて、別居する前のいつもの朝と全く変わらなかった。



さあ、今日こそ掃除だ。






「ココさん、そっちはどう?」


リツからラインが来る。


「変わらないよ」


とりあえず、夫のことは落ち着いてから話そう。


「今日はアオイさんとサッカーだよ」


ユニフォーム姿の二人の画像が送られてくる。


「怪我に気をつけて」


「寂しい?」


「リツは寂しいの?」


「店を出た瞬間から寂しい」


「それは大変だね」


「なんだよ!余裕ぶって!」


「早く帰ってね」


「うん」



やっぱりリツは可愛い。






夫が帰って、結果を報告してくれた。


「入院は終わりにして、彼の自宅に戻ることにしたよ」


「そうなのね…」


「これからは痛み止めだけになるから、多分体調も落ち着くだろうし、きっとおだやかに過ごせると思う」


「そうね、カレーも作ってあげられるね」


「そうだね」


夫は寂しいような、嬉しいような、複雑な顔で微笑んだ。

治療をしないということは、回復は見込めないということだ。だけど、家に戻ったら元気になったという人もいる。『望みは捨てない』そう夫は言った。





「じゃあね」


「ああ、本当にありがとう」


「うん、また連絡して」


「うん、連絡する」



彼が退院するまでしばらくこの家で過ごした夫は、出る時には吹っ切れたのか、晴れ晴れした顔だった。また彼と一緒に過ごせるのが嬉しいのだろう。




それから暫くして、夫からラインが来た。


「調子、いいです」


麗しい金髪の『超』が付くほどのイケメン。

彼は外国人だったのか……。

そして投資家でお金持ち。

夫は全世界の女性を敵に回している。

違うな、全世界のゲイか。


手前味噌だが、夫もなかなかのイケメンだ。

この画像、かなり眼福だな。

待ち受けにしようかな。

リツがフリーズしちゃうけど。

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