27 リツ
ココさん、どうしたんだろう?大丈夫かな?
ココさんが泣くなんて初めてだから心配だな……。そうだ、なんか旨いもの作ってあげよう。いい匂いに誘われるかも。
あ、イカとエビ発見。ペスカトーレだな。
料理しながら、さっきのココさんの言葉を思い出す。
「もう、帰らないんだ」
旦那さん、出て行ったのかな?
俺にとってはチャンスだけど、ココさんが泣くのは俺も辛いし、泣かせるなんて許せない。
何があったんだろう……。
もし、ココさんが何も話さなかったら、俺からは何も聞かないでおこう。
俺はどこまでもココさんの味方だ。もし、旦那さんとヨリを戻したとしても、ココさんがそう望むなら仕方ない。
トマトとニンニクのいい匂い。茹で上がったパスタをソースに絡めている時、ココさんがフロアへ戻ってきた。
「お腹すいた?」
「うん」
「今日はペスカトーレにしたよ」
「おいしそう」
目が腫れてるな……。でも、お腹がすいて、笑顔が出るってことは大丈夫だ。
「いただきます」
「うん、美味しい」
「このエビ甘くて旨い。いつものとこで仕入れたの?」
「うん、いいのが入りましたって言ってたよ」
「じゃあ、今夜のフードはペスカトーレだね」
「そうね」
コーヒーを淹れて一息ついた時
「リツ、あのね……」
ココさんが話し始めた。
ソファに並んで座って、ココさんは旦那さんに打ち明けられてから今日までのことを丁寧に話してくれた。俺は静かに聞く。
ふぅ、と一つため息をついてココさんは続けた。
「もう、白状するね。私、ずっとリツのことが好きだったみたい。今さらごめんね」
来た……
「夫に『恋がしたい』って言われた時に、気づいたの」
俺はココさんを抱き寄せて、俯く彼女の頭に自分のおでこをくっつけた。
「私、リツと恋がしたいんだって」
ココさんは少し震えてた。
いつもは冷静なのに
こんな時だけなんでそんなに可愛いの?
ズルいよ。
顎を持ち上げて、キスで答えた。
ずっと前から知ってたよ。
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