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突然のカミングアウトに言葉を失った。


「ごめんね、落ち着いたら言おうと思っていたんだけど、なかなか言い出せなくて…」


別居と同時にカミングアウトは、私を思って避けてくれたんだろう。


「いつから?いつからなの?」


「え?癌が?」


「違う、いつからゲイなの?」


「ああ、僕は彼に出逢ってからだ。別居する半年くらい前かな。もちろん、キミと住んでいる時はそういう関係ではなかったよ」


「そうなんだ…」


「ゲイではなくて、バイだよね、きっと。キミと結婚して子供が三人もいるんだし」


この際どっちでもいい。


「それで、これからどうするの?」


「主治医には、入院を続けるか、家に戻ってゆっくり過ごすか考えて欲しいと言われた」


「そうなんだ…」


「まだ、本人から聞いていないしどうにもできないんだけど、時間だけが過ぎて行くのがもどかしくて」


「そうね、それも正直に伝えてみたら?あなたはもう知っているんだし、時間をムダにはできないわ」


「そうだね、そうしてみる」


全部話し終えて、夫は少し気が楽になったようだった。


「こんなこと、キミにしか話せなくてここへ来てしまった。いつも甘えてばかりでごめん」


「大丈夫よ。家族でしょ」


やっぱり家は必要だな。私達が集まる場所。家族として落ち着ける場所。


「泊まってもいいかな?一人のマンションに帰るのは嫌なんだ」


「もちろんよ。あなたの家だもの」


「ありがとう」


「久しぶりに二人の夕飯ね」


「ほんとだね。何か作ってくれる?」


「ええ、何食べたい?」


「そうだな、一緒に買い物に行って決めよう」



私達は久しぶりに、一緒に近所のスーパーへ出掛けた。

そんな姿は、きっと端から見れば仲の良い夫婦に映るだろう。確かに私達は仲の良い夫婦だ。別居して、お互いに違うパートナーがいることを除けば。



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