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「キミに伝えていないことがあるんだ」
コーヒーを飲んで少し落ち着いた夫は、ポツリポツリと話し始めた。
「僕の恋人は癌なんだ」
「そうだったの…」
「癌を告白された時、側にいたい、支えたいと思ったんだ。だからキミに別居を切り出した」
コーヒーに視線を落としたまま、静かに続ける。
「抗がん剤治療を始めて、頑張っていたんだけどなかなか良くならなくて。今日、主治医に呼ばれて覚悟しておいて欲しいと言われた」
「他に治療法はないの?」
「いろいろ試して、今の方法が一番効果が期待出来たんだけど……」
「本人は知っているの?」
「多分、主治医から聞いてるとは思うけど、僕には言わない」
「そう……何の癌なの?専門医に診てもらってるの?」
「うん、いろいろ探して、専門医に診てもらってる。癌は肺と…前立腺」
「前立腺!?」
「うん、僕の恋人は男性なんだ」
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