14 リツ

ココさんは俺を抱きしめて

『ありがとう』と言ったけど

俺には『愛してる』って聞こえる。


いい香りがして

温かくて

柔らかくて

愛しかった


暫くそうしていると、ココさんが言った。



「手首が痛くて料理が出来ないから、お店手伝ってくれない?リツにしか頼めないの」



「まかせろ」俺はドヤ顔で答えた。







「リツ……来て……」


ココさんは俺の頬に手を伸ばした。


「ココさん…」


ゆっくりキスして、ココさんは優しく俺をソファへ沈める。

やっとこの日が来た。

俺はココさんの柔らかい肌を全身に受けて、細い腰を抱く。

熱いキスを交わし、一つになる。

激しく求め合い、限界を越える──


「ココッ…!」







「今なんて言った?」


目の前に彼女の顔があった。

こういう時、俺の頭の回転は早い。


「俺なんか言った?」


彼女はふぅとため息をついて俺の上からどいた。


「朝から何してんだよ」


「だって、元気だったから〜」


ゴムしてねぇじゃん。確信犯だな。




あの日、ココさんは俺を抱きしめた。

ココさんが俺を愛していること

大切に思ってくれていること

いろんな感情が流れ込んできて

俺は満たされた。


なのにやっぱり先が欲しくなる。

でもそうすると終わりが見える。

今ぐらいの距離感が丁度いいのかな?




「今日俺、仕事あるから」


「えー!1日休みって言ってたじゃん!」


「ごめん、急な依頼で」


「もぉ…」


彼女がキスして、またねだってきた。

はいはい、頑張りますよ。


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