Coco

4

風呂上がり、一杯飲んで寝ようかなとフロアへ出た時。


『ドンドンドン』


え?誰?


『ココさぁん!俺!』


「オレオレ詐欺の人?」


『リツだよ!』


やっぱり。

リツも海外組のミュージシャン。来るとは言っていたけど、今日なのか。今夜は先客アリだ。まぁ、一人も二人もかわんないけど。


「はいはい」


「遅くなってごめんね」


抱きついてキスしようとする。は酔っぱらうとすぐキス魔になる。


「やめなさい。はい、靴脱いで」


「脱がせて~。全部」


入口に大の字で寝る。


「なにその典型的な酔っぱらい。はい、自分で歩いてソファ行って」


抱えながらソファまで連れてきて、なんとか寝かせた。


「添い寝してくれないと寝れない」


「なに言ってんの」


「じゃあチューして」


私は近づくリツの顔を押し退けて、水を取りにカウンターへ向かった。


「あっ!誰!なんで俺以外の男がここで寝てんの?」


アオイさんを見つけてリツが騒ぐ。


「シーッ。あなたと一緒よ。一人でホテルに帰りたくないんだって」


「えー、俺のお忍び宿なのに」


「宿じゃないから。はい、これ飲んで」


「ひざまくらしてくれないと寝れない」


「はいはい」


水を飲んで、私の太腿を抱え込むように横になると、リツはすぐに寝てしまった。


やれやれ。

アオイさんとリツは面識ないのかな?

この二人、似てると思う。

この出逢いは、もしかしたら化学反応を起こすかもしれない。


リツの頭をそっとクッションに乗せ替えながら、私はちょっとワクワクしていた。

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