冴草ちゃんとキャンプ 1日目到着



 車を走らせる事、2時間程。

 ユーロビートを聴き続ける事も2時間程。


 じゅりあなさんとゴリラが踊り続ける事も2時間。


 キャンプ場につく頃には2人はぐったりとくたばっていた。

 お前らもう帰れよ!



 山間にあるキャンプ場は季節的にも丁度いいからか中々の人で賑わっている。


「・・・・・・」

「河岸がいいって?河岸ねえ……向こうか?」

「河でしたらあちらに流れております」

「詳しいな、黒服」

「もちろんでございます。当店は……」


 どこの店だよ?


 黒服に言われたとおりに歩くと綺麗な小川が流れている場所に出た。

 河川敷はやはり人気のスポットなのか、結構な数のテントが貼られていて釣りをしている人もちらほら見受け……


 ばしゃっ!


「・・・・・!」


 ……今、頭に皿が乗った妙な生物がそこにいたような?


「なぁ、冴草ちゃん。見たか?今の」

「・・・・・・」

「いや、あれは食い物じゃないと思うが」

「・・・・・?」


 それはそうか、このメンツでキャンプに来て普通に過ごせるはずがないものな。

 うん、河童の一匹や二匹いてもおかしくはない。


 気にした方が負けだな。


 あ、そういえば、じゅりあなさんとゴリラを忘れてた……まぁいいか。


「素敵なところですね」

「え?ああ、そうですね」

「・・・・・♪」


 声を掛けてきたのはゴリラの奥さんの頼子さん。

 この中で唯一の普通の人……なのだと思うが……一応警戒はしとこう。


「あら?それはそうとうちのひとは?」

「それでしたら踊り疲れて車で寝てますよ。後で迎えに行きますから」

「あらあら、困った人ねえ。ちょっと見に行ってきますね」


 ぱたぱたと頼子さんは車を止めたほうへと歩いていってしまう。


「普通の人……だよな」

「・・・・・・」


 冴草ちゃんも珍しく俺と同じ意見だ。


「それはそうと乙さんを見かけないんだけど冴草ちゃん知ってるか?」

「・・・・・・」

「は?」

「・・・・・・」

「槍を持って森に入っていった?え?狩りにいったって?」


 ここキャンプ場だよな?

 何かのサバイバル訓練場とかじゃないよな?


 ガサガサ、ガサガサ、ダダダダダダダダ。


「・・・・・!」


 なぁ今茂みから出てきてあっちに走っていったのは乙さん……と槍を持った妙な格好の部族の人達か?


 え?原住民の人とかいるの?ここ?


 遠くの方で、うららららら〜って叫び声が聞こえてくるし。


 大丈夫か?キャンプ場……


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る