冴草ちゃんとキャンプに行こう 1日目
「・・・・・・」
「何でまた急に?」
「・・・・・・」
「テレビで見て?ふぅん、でこうなった訳か」
在宅の俺や冴草ちゃんにはあまり関係はないが、今日から世間は4連休である。
そんな連休の初日、俺達はいきつけの喫茶店に集合していた。
そう、俺達は、だ。
俺と冴草ちゃん、乙さんにじゅりあなさん、黒服にゴリラ……もう意味がわからん。
「あらぁ〜お久しぶりじゃない?じゅりあな」
「乙さんもお元気そうねえ」
「相変わらずちっこいな、あんたは」
「あなたが大きすぎるのよぅ」
「・・・・・・」
俺は知らなかったのだが全員顔見知りらしい。
朝っぱらから会うには濃いすぎる面々を前に冴草ちゃんは満面の笑顔だ。
「・・・・・・」
「あら?そう?」
「・・・・・・」
「まあそうだな」
「・・・・・・」
「じゃあ、準備しないとな」
「・・・・・♪」
おまけに揃いも揃ってエスパーばっかりかよ!?
全員普通に会話になってるのが一番おかしいと思うのは俺だけだろうか。
「・・・・・♪」
さて、この異常に濃い面々で今から何をするのかと言えば……キャンプに行くのだ。
俺は反対したんだぞ、どう考えてもキャンプって面子じゃない。
ちっこいオカマのオッサンにワンレンボディコン扇子持ちと無口な黒服に、筋肉ムキムキのゴリラが一頭。
な?誰だってイヤだろうに……
「・・・・・・」
「え?もう一人来るって?もしかして千冬さんとかか?違う?」
この中に入って大丈夫なような思い当たる人がいないのだが。
俺が首を捻っていると、からんからんと喫茶店のドアが開いて、女性が入ってきた。
年の頃は40くらいだろうか、優しそうな雰囲気のごく普通の女性だ。
「おまたせしました」
彼女はそう言って……ゴリラの隣に座る。
「あ〜紹介してなかったな。妻の頼子だ」
「あらぁ頼子ちゃん。久しぶりねぇ〜お元気ぃ?」
「頼子が来るなんて珍しいわね」
ゴリラの……嫁さんだと!?
そう言えば結婚してるって聞いたような気がするが……普通の人なのか……
俺はてっきり雌ゴリラだとばかり思っていたが。
そんなこんなで俺達はキャンプへと出発することになったのだが……
「へえ、キャンピングカーなんて持ってたのか」
「もちろんでございます。ささ、どうぞこちらへ」
意外な事に黒服はキャンプが好きなようで自前のキャンピングカーを持っていた。
が!車内は予想通りのディスコ状態だった。
昔懐かしのユーロビートが鳴り響き、ミラーボールがクルクル回るキャンピングカーって何なんだよ?
「どうぞ」
「あ、サンキュー。って違うわっ!!」
何さらっと扇子を渡してんだ!おいっ!
「・・・・・・」
「諦めろって?いやいや、踊るのは強制なのか?」
「・・・・・♪」
広くもない車内で踊り狂うじゅりあなさんと……ゴリラ。
にこにこしてそれを見る頼子さん。
ペンライトを振る乙さん。
サイリウムじゃなくてペンライトなんだな!?芸が細かいよ!無駄に!
「・・・・・♪」
「この面子でキャンプに行こうと思った冴草ちゃんがすごいと思う」
なあ?ホントに大丈夫なのか?これ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます