カキ氷はイチゴ味



「なぁ、やめないか?本当にするのか?」

「・・・・・・」

「あ、そう。じゃあ俺も本気を出させてもらうぜ?」

「・・・・・・」



 さて、今俺と彼女、冴草ちゃんが何をしようとしているのかと言えば……

 カキ氷の早食い競争だ。


 シャリシャリのカキ氷にはたっぷりとイチゴ味の蜜がかけてある。

 因みに俺はイチゴが嫌いだったりする。

 この時点で俺には不利な条件なのだが、男には引けない時もある!


「よし!じゃあ行くぞ?」

「・・・・・・」


 コクンと頷く冴草ちゃん。

 相変わらず勝負事になると真剣なんだよな。


「よーい……どん!」


 うおおぉぉぉぉぉ……うぐっ!うぐわあっ!!

 頭いてぇ!キーンてキーン!!


 って冴草ちゃん!?早っ!頭痛くないわけ?


 ははは、完敗だぜ……やっぱあんたすげえよ……

 俺が半分も食べ終わらないうちにあっさりと完食する冴草ちゃん。

 例によってベタベタになった顔を拭いてあげているとまた何か思い出したように俺を見上げる。


「・・・・・・」

「え?罰ゲーム?何それ?そんなのあるの?」


 とことことキッチンに入っていく冴草ちゃん。

 そしてしばらくして持ってきたものとは……


「・・・・・・♪」

「何これ?」

「・・・・・・?」

「じ、冗談だよな?」


 にまぁっ笑う彼女がテーブルに置いたのはバケツに山盛りになったカキ氷だった。

 おいおい、冗談じゃねーぞ!こんな食えるかよ!?

 は?罰ゲームだから食えって?


 いやいや、ちょっと冷静になろうぜ。

 え?何、その変に期待感満載の顔。


「マジで?」


 こくこく頷いて満面の笑みを浮かべて俺を見る冴草ちゃん。


 はぁ……しゃーないか……

 っておいっ!何?何でストップウォッチを!?


「・・・・・・」

「……何でタイムアタックなんだよ……」


 ははは、もうどうにでもなれっ!






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