あの頃と同じ様に



窓から射し込む朝日に照らされて目を覚ます。

目覚ましの時刻はまだ9時半だ。


あ〜昨日はちょっと飲みすぎたからなぁ、頭いてー。


ベッドの中ではいつも通り彼女が俺の腰のあたりにしがみついてすやすやと可愛い寝息を立てている。


サラサラの金髪を撫でてからそっとベッドから出て服を着てキッチンに行く。


「え〜っと今日のコーヒーはどれにしようかな〜と」

ズラリと並んだコーヒー豆の瓶を一つづつ眺めていく。


「よし、ちょっと濃いめにジャマイカにするか」

俺の彼女である冴草ちゃんはコーヒーマニアなのでキッチンの棚には常時50種類を超すコーヒー豆が完備されているのだ。


ふんふんふ〜んと鼻歌を歌いながらサイフォンに火を灯しす。

ミルで豆を挽いてサイフォンにかける。


ペタペタペタペタとQ太郎がキッチンにやってきて壁をよじ登ってきた。


「おう、おはようQ太郎。腹減ったのか?」


くるる〜っと喉を鳴らして口をいっぱいに広げてアピールするQ太郎。

よしよし、ちょっと待ってろよ。

俺は、小松菜を出してリビングの床に置いてやる。


ぐわっしっと小松菜にかじりつくQ太郎。

もしゃもしゃと小松菜を食べてご満悦の様子。


「さてと・・・」

コーヒーを2人分挿れてリビングに戻ると部屋のドアが開いて彼女が顔を出す。


「おはよう冴草ちゃん」

「・・・・・・」


まだ、ぼーっとしたまま、テクテクとリビングに来て俺の膝の上に座る。


髪を手櫛でといてやりながら今日の予定について聞いてみる。


「なぁ今日はどうするんだ?まだ昼前だしどっか行くか?」


「・・・・・・」


花屋?じゅりあなさんのとこか?


「・・・・・・」

ふむふむ、南国風の花が欲しいって?

ブーゲンビリア?


「そっかならコーヒー飲んだらぼちぼちと行くか?」


相変わらずの猫舌で、小さな手でカップを持ってふーふーしている彼女。

昨日、昔の頃を思い出したからかそんな彼女が堪らなく愛しく思えた。


コーヒーを飲み終わって出掛ける準備をする。


「ほら、冴草ちゃんは服を着ような?そのまま外出ると捕まるから」


「・・・・・・」

コクっと頷いて部屋に戻っていく彼女。


そういえば初めてこの部屋にきたときから全裸なんだよな。部屋に入った途端に服を脱ぎ始めたときはビックリしたよなぁ。


カチャ


「・・・・・♪」

おや?今日はメイドでもゴスロリでもなく赤と白のワンピースに麦わら帽子を被っているぞ。


「どうしたんだ?いつもと違うじゃんか」


「・・・・・♪」


ああ、そっか。

俺と初めて会ったときの格好をしてみたわけか。


って小学生のときだろ?覚えてねーよ!


「・・・・・!」


小学生の頃から身長変わってないからその時の服を着たって?


いやまぁそうだけどさ。

・・・まぁいいか。可愛いから。


暑い日差しの下、俺と彼女は仲良く手を繋いで・・・ではなく彼女は俺の腕にぶら下がって花屋さんへと歩いていった。(歩くのは俺だけ)





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