初めて会った日のこと
俺が冴草ちゃんと初めて会ったのは小学校2年生の夏休み明けだったはずだ。
夏休みが終わって学校に行くと先生が転校生を紹介してくれて、それが冴草ちゃんだった。
今と変わらず小さくて壊れてしまいそうな金髪の少女。
瞬く間に学校中の注目の的になったのだが、あの頃から全く喋らない子だったっけ。
同級生たちは、彼女が外人だから日本語がわからないんだと思っていたみたいだが俺は何となく違う気がしていた。
その後中学校も同じだったがほとんど関わることなく3年間が過ぎたっけ。
再会したのは俺が就職してからだ。
ちょうど会社の同僚と飲みに行った帰りのラーメン屋でラーメンを食べている冴草ちゃんに出会ったんだ。
想像したら分かると思うが、金髪碧眼の美少女が夜中にラーメン屋で豚骨ラーメンを食べている姿なんかありえないと思わないか?
たまたま隣に座って、俺は確か冴草ちゃんだったよなぁと思ってはいたんだが声はかけなかった。
ところが、彼女は俺の頼んだギョーザを隣からパクパクと食べやがったんだ。
こいつ、絶対俺を覚えてやがると思った俺は彼女に覚えているか聞いてみた。
答えはいつものあの笑顔だった。
結局この日、彼女は俺の部屋に泊まって帰り、3日後には俺の部屋に住んでいたわけだ。
変なヤツと思ったしいきなり男の部屋に泊まりにくるなんてどうなんだって思いながら彼女を抱いたことをよく覚えている。
てっきり遊んでいるんだとばかり思っていたんだが、彼女は処女だった。
後から聞いたんだが、彼女はずっと俺を好きだったらしく処女は俺とのためにと思っていたそうだ。
嬉しいじゃないか。
てなわけでそれ以来一緒に暮らしているんだが・・・
「なぁどうやって食べたらそんなベシャベシャになるんだ?」
「・・・・・?」
トーストにジャムを塗っただけなのに何故に顔中がジャムまみれになるんだ?
俺はいつも通りジャムを拭いてやる。
「・・・・・♪」
にぱっと可愛く笑い俺の膝にちょこんと座る。
未だにどこに住んでいて何をしていたのかも知らないんだが俺にとって大切な彼女であることに変わりはない。
彼女を撫でながらそんな事を思った俺だった。
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