エスパーがまた増えた



 ガチン!ガチン!


 さてさて、俺は朝から何をしているかと言うと……

 ボビーさんにトーストを上げているのだが。


 ガチン!ガチン!


 何故に手を噛みにくるのかがわからん。


「お〜い、冴草ちゃ〜ん。俺、こいつムリだわ」

「・・・・・・」

 

 可愛いのに?じゃねーよ!



 ボビーさんに餌やりもひと段落してから、いつものトースターの戦いをした。

 まぁ結果は聞かないでほしい。


「・・・・・♪」

「あれ?冴草ちゃん、出かけるのか?」


 珍しく彼女が服を着てる。今日はシックなメイドスタイルだ。つまりロングスカートね。


「・・・・・・」

 

 ああ、納品に行くんだ?えっ?俺も?

 歩くのがめんどくさい?



「・・・・・♪」


 と、言うわけでやってきましたアンティークショップ『ハンプティ』

 えっと、おっさんは?と、いたいた。


「お〜い、おっさん。冴草ちゃんが納品だってよ」

「あら、いらっしゃい。待ってたのよ〜どうだった?見せて見せて〜」


 見た目ダンディなおっさんがクネクネする姿は結構くるものがあるな。


「・・・・・☆」


 おおっめっちゃドヤ顔でこっち見てる。

 納得の査定だったみたいだな。


「あっ、そうそう、こちらの方がね〜冴草ちゃんのジュエリーのファンなのよ〜」


 おっさんはそう言って女性を紹介する。

 正直嫌な予感しかせん……


「はじめまして、私、千冬真夏と申します」


 そう言って女性は、丁寧にお辞儀をして名刺を差し出す。


「参道沿いでジュエリーショップをしておりまして是非とも冴草様のジュエリーを扱いたいと思っておりまして」


 何……普通の人だと!?名前がめっちゃ寒そうでめっちゃ暑そうだけど。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・♪」

「・・・・・!」


 はっ?


「まぁ!ありがとうございます!是非ともお願い致します!」


 えっ?


「・・・・・・」

「・・・・・・」


 2人で笑顔で握手している。

 何故?


 この人もエスパーなのか?





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