おじいさんの時計はデカすぎる



「・・・・・・」


「冴草ちゃん、どうするんだ?」


「・・・・・・」


 今僕と彼女はアンティークショップ『ハンプティ』に来ている。

 で、そこで彼女が気に入ったみたいなのがこの大きな古時計。

 高さは、2メートルほどだろうか、重厚な造りの振り子時計だ。おじいさんの的な。


「・・・・・・」

 彼女が悩んでるのは、この時計が壊れているからなんだ。時計の針は普通に進むのだが振り子の部分が壊れているらしい。


「冴草ちゃ〜ん、修理に出すならだすわよ〜でもちょっと時間がかかっちゃうわね〜」


 時計か……ん?時計なら。


「冴草ちゃん、時計ならロンさんのとこで直せるんじゃないか?」

「・・・・・!」

「あら!そうね。彼なら直せるかもしれないわね」

 ロンさんというのは、裏町で時計屋を営んでいる中国人風の関西人で純日本人だ。


「よし、じゃあ、買うか?」


 コクコク


 満面の笑みで俺に抱きつく彼女。

 うん。今日も安定の可愛いさだ。


「じゃあ、おっさん、時計をロンさんのとこに運んでおいてくれるか?」

「いやよ。あんたが持っていったらいいじゃない」

「は?」

「だから、あんたが今から持って行けばいいのよ」

「・・・・・♪」


 いやいや、お前等はバカなのか?

 100キロどころじゃないぞ?これ。


「・・・・・?」


 いつのまに店の外に出て待ってるんだ?


「じゃあ後はよろしくね」

 そう言っておっさんは他のお客さんのところに行ってしまった。


 マジか……



 その後、街中で巨大な時計を背負って歩く巨漢が目撃されたとかされなかったとか。






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