新しい豆でコーヒーを淹れてみたら
昨晩は彼女に求められるままセックスを楽しんだので今日は夕方まで寝過ごした。
窓の外を見れば夕陽が街を照らしている。
「晩御飯・・・なに作ろうか?」
俺は冷蔵庫の中身を思い浮かべながら思案する。
こんな日は外食もいいかもな。
幸いなことにこの近所には数多くのレストランや喫茶店がある。
ならどこにするか……最近流行りの店は2人で行くには目立ちすぎる。主に彼女がだか。
俺はいくつかの候補を考えてから、彼女の方を眺める。
足元で丸くなって幸せそうな寝息をたてている彼女。このまま寝かしておいてあげようかと思ったが、きっと起きたらお腹すいたというのは想像に難しくない。
「冴草ちゃん?もう夕方だからそろそろ起きなよ」
「・・・・・・」
軽く揺すってみるが起きる気配なし。
やれやれ、俺はベッドから抜け出すと服を着てからキッチンに向かう。
「今日のコーヒーはどれにするかな〜」
ミルとサイフォンを用意しながら棚をみる。
スタンダードのキリマンジャロやブルーマウンテン、モカ等、あまり見かけないハラーやAP-1にトラジャなどなど。
コーヒーをこよなく愛する彼女が集めた豆がズラリと並んでいる。
「こないだ買ったこれにしてみるかな」
ガラス瓶を手に取りラベルを確認する。
『マンデリントバコ』
マンデリン独特の苦みと甘く芳醇な香りが特徴的なコーヒーだ。
俺がキッチンでコーヒーの用意をしていると。
ぺたぺた、ぺたぺた
「おはよう、冴草ちゃん。もう夕方だからこんばんはかな?」
彼女がまだ眠そうな目をこすりながら起きてきた。
「・・・・・?」
「ああ、コーヒー淹れるからリビングで待ってな。それと……一応だけど服着ような?」
俺はコーヒー豆の瓶を見せて彼女にいう。
「・・・・・♪」
トバコの香りがお気に召したのか、くんくんと匂いを嗅いでスキップでリビングに入っていった。
「はい、どうぞ」
彼女にコーヒーをだし2人リビングのソファーに腰掛ける。
「砂糖いるか?」
彼女は、ふるふると首を横にふる。
どうやら甘いもの好きの彼女も、今日は香りと味を楽しみたいらしい。
ふぅ〜ふぅ〜
カップを小さな両手で包んでいる姿は、いつもながらに可愛いと思ってしまう。
こくこく
「・・・・・♪」
にへらっと笑顔を浮かべてご満悦の様子。
「今日は時間が時間だから外で食べようと思うんだけど、どうする?」
「・・・・・〆」
彼女は、ちょっと悩んでから自分の仕事部屋を指差す。
どうやら急ぎの仕事があるみたいだ。
「そっか、なら外食はまた今度にしてピザでも取るか?」
「・・・・・・」
二杯目のコーヒーを飲み干して彼女が頷く。
「よし!なら冴草ちゃん、仕事頑張れよ」
俺は彼女の頭を撫でる。
「・・・・・?」
ん?どうしたんだ。
彼女は俺の手をとってくんくんと匂いを嗅いでいる。
「・・・・・♪」
どうやら豆の香りが手に移ったみたいでそれが気に入ったらしい。
ふわりと俺に馬乗りになって匂いを嗅ぎ出す。
ふわふわのくせっ毛の金髪がくすぐったい。
ぺろり
とうとう我慢出来なくなったのか、首筋あたりを小さな舌で舐め始めた。
「こらこら、仕事するんだろ?」
彼女をひょいと持ち上げる。
「・・・・・・」
ちゅっ
顔を伸ばして俺にキスをする。
「終わったらちゃんと仕事しなよ?」
「・・・・・♪」
手を離して膝の上に戻す。
結果、彼女が仕事をやり始めたのは朝日が昇る頃だった。
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