第2章
11 運命の日
4月14日 中央心木学園
……その日は、初染町にある中央心木学校の生徒が集団失踪する日となる。
人も校舎も地面ごとごっそり消えていて、大変な騒ぎになるのだ。
事実、初染の神隠しと言われるようになり、かなり世間では騒がれるようになったらしい。
だが、そんな事など知りようがない生徒達は、その日も普通に登校して、授業を受け、放課に遊んでいた。
相変わらず勇気啓区という存在は安定せずに、いつ消えるのか分からないでいる状態だったが、物語の始まりのシーンには居合わせる事になった。
中央心木学校 5-2 教室付近
授業が終わった後の昼放課。
「鬼ごっこよ、鬼ごっこ! さあ、私を捕まえてごらんなさーい!」
担任である白木雪菜先生が教室を飛び出して行ったのをきっかけにして、教室内にいた生徒達がその姿を追いかけるように一斉に飛び出していった。
雪菜先生は、僕のいる教室の担任として授業を教える先生ではあるのだが、ちょっとばかり個性的な性格をしている人だった。
いい年した大人だというのに子供っぽく振舞ったり、生徒達と一緒になって放課後遊んでたり。発想が変わっているのか、よく変な事とか面白い事を思いついては生徒達と挑戦している。
目の前にあるこれも、その一環だ。
クラス全員強制参加の部活「あそ部」。
正式な部活でもないし、活動書類があるわけでもない。
創設者であり発案者である雪菜先生は、昼放課になるたびに大勢を巻き込んで様々なゲームを行っていた。
ちゃんと仕事してるところ見た事ないけど、あの人はあれで色々考えてるようだ。
というのも、この教室には、転校してきたばかりの少女……結締姫乃がいるから、彼女がクラスの者達と打ち解けられるようにしているのだろう。
「あ、みんな行っちゃうの早いな……」
でも、姫乃達より地理に詳しい生徒達が一歩先んじる事が多く、彼女はいつも遅れがちになってしまうようだった。
連日の負けが影響して、大人げない人が多いクラスメイトは、鬼ごっこに夢中になりすぎているらしい
遠くから「理科室に向かったらしいぞー!」という叫び声を聞いて、姫乃は記憶を探りながらそこに向かおうとする。
「あっちだったかな」
ちょっと心配だな。
でも、まあ大丈夫だろう。
このクラスには親切な人達が大勢いる。
一見して、堅気には見えない不良少年、
この間みかけたツンデレフリル少女も、ツンツンしつつもある程度は親切を働いているようだし。
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