第5話 危険!?

「ヒナ——ヒナはどう思う? あたしの姿。この髪、この肌——」


 ロウソクの灯の薄暗がりの中、あたしは自分の手を見つめた。

 茶色い指先に生えている爪も、黒ずんでいる。

 洗っても取れない黒さなのだ。


「あたし、こんな姿になっちゃって……気持ち悪いでしょ、本当小鬼みたいだわ」


 ヒナは無言だった。


「一生この姿だったら——ヒナ、どうする?」


 ヒナはあたしをじっと見た。


「お、俺——いや、僕は——」


 ヒナが答えようとした時。


 カサッ。


 あたしたちは、窓の外でする微かな物音を同時に耳にした。


 ヒナは小さな戸棚の陰に身を潜め、あたしはさっと窓に近づいて、外を窺った。 


「…………」


 もう何の物音もしない。


 でも、あたしには判った。


 薄い木の壁を隔てた向こうに、誰か、いる。息をひそめた何者かが。


 あたしはヒナに、静かにするよう合図してから、ロウソクを吹き消し、手近にあった火搔き棒を掴んだ。



 今の話、もし聞かれていたらまずい。

 とにかく、このまま放っておくわけにはいかない。



 あたしはそっと部屋から出て、すぐ近くにある裏口の扉から外に出た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る