ヒーロー11 大阪城地下竜宮城
お堀の底の出入口から地下大阪城まではゆるい下り坂一本道。
まるで洗面台一杯の水が配管に排水されるように水が流れ込む。
狼男たちは出入口を目指し、次々にお堀に飛び込んでいく。
籠城する上で水が入るのはむしろ防衛上の罠である。
長い下り通路は照明を消され、真っ暗闇になっている。
浸水した事で自動的に通路途中の床が抜け、
大川に排水される構造にしてある。
大雨による無限排水ループが始まった。
狼男たちはなす術無く暗闇のウォータースライダーを下り、
そのまま大川に流れ着くばかりだった。息が続けば楽しい。
しかし大川まで流れ着いた狼男が遠吠えをすると、
ぬりかべによって雪女が大川沿いに召喚された。
雪女が排水溝の上に立ち地面を凍らせると排水も凍り、
詰まってしまった。
多少の時間稼ぎにしかならず、再び浸水が始まる。
ついに地下大阪城の最下層に浸水が始まった。
しかし同時に落下扉が落ちて、通路は閉鎖された。
わずらわしい堂々巡りだ。
雪女は通路から排水する為に今度は排水溝を解凍する。
さらにお堀に移動して大雨を吹雪に変え、雷をも止めた。
そしてお堀の水をトンネル状に凍らせて通路への浸水も止めた。
ぬりかべが小鬼を召喚する。通称、枕返し。
枕返しは通路に残った水をポンプの様に重力に逆らって排水し、
落下扉を勢いよく跳ね上げた。
■
ついに無数の狼男が地下大阪城に流れ込む。
しかし待ち構えていた里見が片っ端から令和の剣で斬り捨て始めた。
斬られた狼男は即死したようにバタバタ倒れた。
3メートルの絶対的リーチで振るわれる片手剣。
侵入する狼男のペースをも上回り、逆に里見は出入口に進攻していく。
黒ずくめのフルフェイスライダースーツを隠すように、
通路内は薄暗い照明が灯った。
何処かの星で犬塚がやった様に狭い通路で前進を始めた大群は停止できない。
単独なら壁や天井を弾丸の様に跳ね回るトリッキーな動きが出来ただろうが、
徹底して戦闘を避けて来た防衛網が通路での隊列を忘れさせ、
油断させていた。
最初に斬られて死んだかに思われた狼男たちが改心し、立ち上がり始めた。
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