ヒーロー12 シーソーゲーム

雪女の吹雪に紛れて、

犬坂の式神が敵が撤退する瞬間をうかがっている。


里見は通路の中ほど大川排水路の分岐まで駆け抜け、

ついに狼男達とついでに枕返しを倒しきった。



パン!

薄暗い通路の先から飛んできた弾が壁に当たって火花を散らす。

よく見ると警察官が拳銃を構えていた。

茨木童子の瞳力で操られた大阪府警本部の警察官達。


戦いを避け大川排水路に逃げ込むか、地下へ撤退か。

しかし里見は令和の剣を殺傷モードに変えビームを伸ばした。


逃げても警察官は救えないから。

せっかく斬った良い子ちゃん狼男と衝突させても犬死になる。


何とかして今回も妖怪どもを撤退させ、

式神発振器で敵本拠地を探らねば勝機は無い。


ビームで天井を四角く斬り抜き、落ちてきた所を突き刺した。

畳返しならぬ天井返し。


その天井盾を構えて突進するだけで狭い通路での拳銃は封じる事が出来た。

十字砲火など出来ない、まだ地の利はある。


そのまま令和の剣を伸ばして薙ぎ払い、警官の催眠を解いていく。

なかなか死者が出ない、奇妙な善と悪のシーソーゲーム。


里見は通路の先まで制圧し、凍り漬けのお堀を蹴り上って地上に飛び出た。

堀のすべてをほぼ凍らせきり始めている雪女と対峙する。


盾を投げ付けて突撃すると、盾ごと暗闇に消えていった。


あっけないが、戦闘は不得手だったのだろう。

これで式神が敵本拠地に着いたはず。


パン!

作戦は成功したが、府警本部から発砲音がした。


警官を配下にして回っているとすれば、おそらく茨木童子しかいない。

里見は大阪城のお隣さん、府警本部へ向かった。


敵は犠牲者をいとわない邪悪な妖怪。婦警の母が心配になってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る