シークレットウォー11 敵を知り己を知る

陽子は吹き飛ばされながら地龍死体の影に礼の珠を放り捨てた。

レッドドラゴンがブレスを発射する。


短距離転送で躱すつもりだったが、

ブレスは火炎放射器のように長時間掃射された。


単発炸裂からバージョンアップされた放射ブレスが洞穴を熱し始めた。

洞穴の壁と地龍の死体が赤熱するほどの灼熱地獄が迫る。

逃げ場は無い。


仕方なくダンジョン入り口で待機中の乙姫の元へ転送した。



乙姫『おかえり』


陽子「たでえま」


犬神は居ない。

あえて瓦礫に埋まっているままの犬神の元へは転送出来ない。

洞穴内はしばらく灼熱地獄、陽子は待つ事にした。



犬神は瓦礫の隙間からレッドドラゴンを観察していた。

先ほどから真っ暗のはずだが、陽子の死体を探しているように見える。


見えているのか?

ばっちり洞窟用に適応している?


金剛力で瓦礫から飛び出す。

物音でドラゴンの注意を引き、大岩を抱えて投げた。


躱すなら見えているはず。


しかしドラゴンは大岩を口でキャッチした。

見えている。


そして大岩を咥えたまま口内が光る。

ブレスが来る。


お返しとばかりに大岩と共に放射ブレスを発射、洞穴を炎で埋めつくす。

どうしようもない、いい攻撃。


犬神は礼の珠に転送して珠を回収し、乙姫の元へ撤退した。


乙姫『おかえり』


犬神「たでえま」


陽子「どうでした?」


犬神「レッドドラゴンは暗闇でも見えてるようです。

地の利がありすぎて手強い。犬坂さんに相談してきます。」



地下大阪城に戻って犬坂に相談すると、大雨の護符をもらった。

さらに防水仕様のスマホ。


犬塚はまだ新婚旅行中だった。



陽子に作戦を伝える。


犬神「大雨の護符で水攻めしつつ、河童に変化してすすんで下さい。

狛ちゃんスマホがオートマッピングします、だそうです。」


陽子「なるほど。やってみましょう。」


犬神「私はタルナーダにラファエル国ダンジョンの報告に行こうかと。

乙姫さん引き続き留守番を頼めます?」


乙姫『陽子さん一人じゃ心配なので一緒に潜りたいなー。

大雨の効果が出るまで時間あるんでしょう?

今の内に報告に行って、入り口の留守番は犬神さんやってくれない?』


犬神「ふーむ、よかろう」

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