シークレットウォー11 敵を知り己を知る
陽子は吹き飛ばされながら地龍死体の影に礼の珠を放り捨てた。
レッドドラゴンがブレスを発射する。
短距離転送で躱すつもりだったが、
ブレスは火炎放射器のように長時間掃射された。
単発炸裂からバージョンアップされた放射ブレスが洞穴を熱し始めた。
洞穴の壁と地龍の死体が赤熱するほどの灼熱地獄が迫る。
逃げ場は無い。
仕方なくダンジョン入り口で待機中の乙姫の元へ転送した。
■
乙姫『おかえり』
陽子「たでえま」
犬神は居ない。
あえて瓦礫に埋まっているままの犬神の元へは転送出来ない。
洞穴内はしばらく灼熱地獄、陽子は待つ事にした。
■
犬神は瓦礫の隙間からレッドドラゴンを観察していた。
先ほどから真っ暗のはずだが、陽子の死体を探しているように見える。
見えているのか?
ばっちり洞窟用に適応している?
金剛力で瓦礫から飛び出す。
物音でドラゴンの注意を引き、大岩を抱えて投げた。
躱すなら見えているはず。
しかしドラゴンは大岩を口でキャッチした。
見えている。
そして大岩を咥えたまま口内が光る。
ブレスが来る。
お返しとばかりに大岩と共に放射ブレスを発射、洞穴を炎で埋めつくす。
どうしようもない、いい攻撃。
犬神は礼の珠に転送して珠を回収し、乙姫の元へ撤退した。
乙姫『おかえり』
犬神「たでえま」
陽子「どうでした?」
犬神「レッドドラゴンは暗闇でも見えてるようです。
地の利がありすぎて手強い。犬坂さんに相談してきます。」
■
地下大阪城に戻って犬坂に相談すると、大雨の護符をもらった。
さらに防水仕様のスマホ。
犬塚はまだ新婚旅行中だった。
■
陽子に作戦を伝える。
犬神「大雨の護符で水攻めしつつ、河童に変化してすすんで下さい。
狛ちゃんスマホがオートマッピングします、だそうです。」
陽子「なるほど。やってみましょう。」
犬神「私はタルナーダにラファエル国ダンジョンの報告に行こうかと。
乙姫さん引き続き留守番を頼めます?」
乙姫『陽子さん一人じゃ心配なので一緒に潜りたいなー。
大雨の効果が出るまで時間あるんでしょう?
今の内に報告に行って、入り口の留守番は犬神さんやってくれない?』
犬神「ふーむ、よかろう」
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