犬士編5 騙しあい

陰陽軍師の犬坂毛野は今までの戦いの反省と今後の事を予想していた。


まず彦根城を犬神に任せた場合はどうだっただろうか。

人質はどのみち伏姫が守り、救出したんだろう。

後は自衛隊と連携して攻めれば、ぬゑの落雷は犬神が着た甲冑には効果は無い。


一方、長浜城を犬塚に任せた場合、まず霧で睡眠毒を無効化しただろう。

巨大化もさせる事もなく終わったはず。

万一巨大化されても金剛力小太刀があれば拘束されても問題ない。

最悪、霧を毒化すれば無敵なのだ。

村雨に魅入られた犬塚は何もかも切って捨てるのが好きなだけだ。


つまりもっと容易に攻め落とせたはずだった。

敵をしっかり調べなかったのは反省点であった。


毎回犬神は準備してるようで、死にかけている。


そして今後はどうか。

相手は竜の類であり、とうとう対人間ではなくなった。

村雨剣士犬塚であれば、まだどうとでもなるような気はする。


しかし犬神の剣術道場で人間以外を想定した武術など教えていないだろう。

いや、そもそもどこであろうと教えてなどいないだろう。


ゆえに招雷の護符を与えた。

でも今回も準備不足な気がしている。


引きこもっている自分がもどかしいが、

現状の守りのメンバーを割く事はまだ出来ない。

梅田には東犬。吸血鬼と妖狐は人間の事情など考慮しない。

まだ珠が集まっていない今、珠転送は出来ないのだ。


敗北すれば火山噴火と地震は本州を襲うだろう。

富士山が噴火すれば日本壊滅は免れない。


二手に分かれた犬神、犬塚。

犬塚が九州を早急に平定すれば、二人掛かりで持ち直す。

犬神は時間稼ぎで良いのだが。

一般市民の犠牲を無視できないだろう。

そして初めからそう指示しては敵にも伝わってしまう可能性がある。

敵をだますにはまず味方から。


犬神は毎回死にかける運命なのだろう。

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