犬士編6 討伐実況
犬神は地下大阪城の武器庫で今回の武装を考えていた。
なぎなたと槍、最初はなぎなたと思っていたが、
槍にした。
堅くて切れない場合を想定すると、
金剛力で無理やり突き刺すしかないと思ったのだ。
六尺棒も対人用なので、
今回は木槌にした。
パイルバンカー、弓と千本分裂の矢も持っていく。
吸血鬼も天狗もすっかりトラウマだ。
防具は甲冑、暗視サングラス、退魔笛、金剛力はちまき。
もらった護符は雨と雷。ヒョウタンには巨人化の酒。
175cmほどの犬神は260cmほどの東犬サイズとなる計算。
スマホには狛ちゃん。
カメラ付きドローンをコントロールできるらしい。実況者。
それでどうやって竜を倒させればいいのか。
竜は和風の神龍タイプなら飛ぶのか?
雷は効くのか?逆に雷を落とされそうではある。
洋風なら翼は?火を吐くのか?
孤独な戦いに不安が募る。
今回は敗走もありと覚悟した。
■
犬神は飛行機から降りてレンタカーに乗り換えた。
後部座席に荷物を積み込む。
すでに甲冑は着込んでいる。
皆、噴火や地震は自然現象と思っている。
自衛隊も災害救助で出払っている。
復旧に忙しく噴火中の十勝岳に向かう者などいない、
せいぜい監視定点カメラがあるのみだ。
近くまで来た所で雨降らしの護符を使った。
数時間火口の周りを走る。
溶岩の流れていない西側から車で行けるところまで行く事にしたが、
頼もしい程十分な大雨だったので止むのを待つ。
九州霧島の犬塚も待っているようだ。
近くの温泉宿で休む。
■
雨が止んでもまだ水蒸気が立ち込める山腹に車を止めて、
まずはドローンを飛ばした。
カメラで確認すると火口から溶岩が流れ出ていない側にナーガが多数居る。
ナーガは下半身が蛇、上半身は人間。
槍を持っている。
雑兵であり、今回の討伐対象ではないはず。
目的は火山を噴火させるほどの存在、竜なのだ。
竜はどこに。
実はすでに有珠山に移動していた。
九州霧島も同様、竜は阿蘇山に移動していた。
またも裏目に出始める、いやな展開。
新たに噴火する火山に向けて、
渋滞にはまりながらレンタカーを走らせる。
幸い大雨は九州や北海道全域で降っていたので効果は有った。
先のドローン配信でナーガの存在も世間に知れ渡る事となる。
自衛隊も噴火する火山へ部隊を送る準備を始めた。
ナーガを倒せばこの大災害が収まるかもしれないと。
■
噴火したての有珠山にはナーガは居らず、竜が居た。
典型的な洋風ファンタジーだ。酒呑童子ほどの高さは無いが。
四つ足、赤色の鱗、翼がある。高さ4メートル、全長10メートルほど。
激しく暴れまわって、その動きに噴火と地震がリンクして発生する。
帰りたい、が雨によって近づけるタイミングは今しかなく、
逃せば本州に渡るだろう。
ドローンは落とされる危険があるので、
遠目に車を止めてそこでドローンを飛ばした。
乙姫『狛ちゃん頼んだ』
狛ちゃん『わかった』
犬神がドラゴンに駆けていく。
史上初の妖怪討伐実況が始まった。
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