琵琶湖編6 炎
犬神が長浜城跡の木陰に隠れながら走る。
暗視サングラスを掛けたまま、防毒マスクを装着している。
鼻と口だけを覆うタイプ。
なぎなたを持ち、背中に六尺棒と弓矢。
乙姫の偵察では、もう一つ拠点がある。
長浜城二人目の人柱の元へ。
ある石碑に付いた木扉に突入する。
中には青鬼が2体居た。
犬神「人柱が3人もいたか。くそが」
鬼を全滅させて、青鬼の首を二つ持って外へ出た。
首が灰となって輝き、二つの無字の珠となる。
その珠を乙姫が吸い込んだ。
犬神「それ美味しいの?」
乙姫『神通力が上がります。はやく人間になりたいので。』
犬神「まじかよ神様」
乙姫『拠点は潰しました。後は自衛隊に任せて帰りましょう。』
犬神「いや人質は居ないんだろ?火をつけよう」
犬神はガソリンスタンドに寄るとガソリンを購入した。
城南側、鬼の守備範囲外で何本か木をへし折り、火を付ける。
燃え盛る木を金剛力で城跡に投げ込んでいく。
炎で城跡を浄化するかのごとく。
最後の1本を城型博物館の窓目掛けて投げた。
犬神「でてこいやあ」
窓を突き破ることは無かったが、挨拶はした。
鬼どもが燃える木が飛んできた方向、犬神に殺到する。
犬神はなぎなたと六尺棒を都度持ち替えて、
間合いを図りながら鬼を討伐して回る。
鬼は火事を消そうともしない。
犬神も延焼を狙って逃げ回りつつ、燃える木をぶん回し、ぶん投げる。
その時、
城型博物館から普通の鬼より一回り大きな鬼が飛び降りて来た。
酒呑童子。
酒呑童子は金棒を持っていないが、燃える木を掴んで襲い掛かってきた。
熱風をともなう異常にリーチの長い薙ぎ払い。
燃え盛る木の枝が地面を削る程低く、潜る事は出来ない。
リーチが長すぎて前後にも躱せない間合い。
いつも木で戦っていそうな技だった。負けるかもしれない予感がする。
犬神はジャンプして躱すしかなかったが、
さらにスピードに乗った二周目の薙ぎ払いが、
着地前の犬神を吹き飛ばした。
防毒マスクが壊れた、が火傷は負っていない。
落雷をも耐える甲冑が防げないのは肺から血液に侵入する毒だけの様だ。
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