琵琶湖編5 毒

夜になって犬神が長浜城敷地内に入った途端、ぶっ倒れた。


乙姫『おや?』

竜の落とし子の尻尾でぺしぺしするが反応がない。


乙姫『酒臭いとは思ってましたが、毒でしたか

アワワワ』

口から出た泡を犬神が吸うと、目が覚めた。


乙姫『辺り一帯、睡眠毒が漂っているようです。』


犬神「ありがとう。解毒はどれくらい持つ?」


乙姫『わかりません。吸いすぎると呼吸困難とかになるかも』


犬神「一時撤退」

犬神は風上へと北上した。


改めて城内を見つめる。

木が多い。


犬神「燃やすか」


乙姫『燃やすと明るくなりますし襲撃がばれるので、

せめて1拠点封印してからがいいでしょう。

おそらく拠点内に入ってしまえば毒は有りません。』


自衛隊も同様に火攻めを検討していたが、彦根城の人質作戦がためらわせている。

実際には長浜城内の人々は皆殺しにされていた。


酒呑童子には人質など不要だった。


犬神は息を止め、神社拠点へと突き進む。

鬼の相手をする時間も惜しんで一気に鳥居を潜る。


鳥居のおかげか、潜っただけで拠点内へと景色が変わった。

昔の人々、人柱の女性。

怒りが募っていく中、青鬼となった女性の元へ。

赤鬼に金棒は無く、大工道具か素手で襲ってきた。

鬼を腹いせに全滅させる。


青鬼の首を持って大きく息を吸い込むと、鳥居を潜って一気に離脱した。


離脱後、一体の鬼に気付かれ追尾される。

道路に出た途端、赤揃え甲冑の犬神もろとも自衛隊にハチの巣にされた。


サーチライトが倒れた鬼と、

なぎなたと鬼の首を持って手を挙げる犬神を照らした。

鬼が金棒の治癒能力で動き出す。

再度発砲される中、犬神は手を挙げたまま背を向け、

自衛隊へ向かって後ろ歩きする。

鬼は激しい銃撃で手が金棒から離れて死んだ。

犬神は被弾にかまわず、同士討ちとなる距離まで詰めて発砲を止めさせた。


犬神「味方だ、責任者と話がしたい。」

誤射に腹が立ったが、仕方ない事と割り切った。

青鬼の首が光る灰となる。乙姫はそれを吸い込んだ。


犬神は火攻めを提案したが、自衛隊は人質が心配と渋る。

そのかわり防毒マスクを貸すと言う。

犬神は自分とだんだら羽織が味方であると説明すると、

防毒マスクを受け取って長浜城跡へと戻っていった。

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