アベンジ編10 好きな物

信の珠に一同が注目する。

犬神と乙姫が顔を見合わせた。


乙姫が義の珠に戻る。


タルナーダが大事そうに信の珠を拾うと、義の珠を二度見した。


タルナーダ「似てるな」

義の珠の乙姫が竜の落とし子形態に戻る。


乙姫『神様です』


犬神「どうやら我々は仲間のようだぞ」


タルナーダ「ならそっとしておいてくれ」


犬神「気が向いたら大阪城に来るといい」


犬神は隠し部屋を去ると、

犬坂に報告し、大阪城に帰ることにした。



逃げた天狗は琵琶湖の東、安土城跡へ向かっていた。


安土城の本丸跡で稲荷寿司を売っている犬村陽子【いぬむらようこ】

は天狗の竜巻にさらわれる。

天高く舞った犬村陽子の他に約一名、観光客も飛ばされた。


犬村陽子は妖狐だった。伏見稲荷大社で生まれ育ち、自然と妖狐になった。

以来、稲荷寿司を売り歩いて善行を積み、九尾まであと一歩だった。


陽子は竜巻に飛ばされながら狐姿に戻る。

モフっとした尾で観光客を包み着地。

善行を積んでとうとう九尾狐となった。


一気に神通力が上がり、一回り大きくなった。

四つ足で立つ姿がすでに人間より高い。

天狗の元へ向かおうとした。


観光客「ちょっと狐さん」

観光客は伏姫だった。


伏姫「安全な所まで送ってもらえない?

あとお腹が減ったわ、さっき買った稲荷寿司も飛ばされてしまって。」


陽子は人の姿に戻り、

伏姫をふもとの総見寺まで送るとそこで稲荷寿司を振舞った。

伏姫「いただきます、もぐもぐ、天狗を倒しに行くの?」


陽子「ええ」


伏姫「天狗って子供好きなんですって。」


陽子「そうなんですか」


伏姫「少年が特に好きらしいです。ぐへへ」


陽子「詳しいんですね」


伏姫「歴史好き女子なんです。筋金入りの。

じゃあ私はひこにゃーを見に行きますので」


陽子「いってらっしゃい」

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